#39 ページ39
｢Aちゃん＿＿｣
『駄目なんです。』
憤りさえ感じるすがる声を拒絶する。
今顔を上げたら元には戻らなくなる。
太宰幹部は両肩に手を置いて、
無理矢理向かい合わせにさせた。
尚表情は見させない。
｢顔を上げておくれ。｣
両肩に触れる彼の手首をつかんだ。
此処で拒絶しないと、彼も私も堕ちる。
もう近づけさせたくない。
近づけてはいけないと思いたいんだから。
『＿＿何もかも、其以上は
関わらないでください。』
冷たい刃の言葉が口から発される。
緩んだ一瞬を逃さず、
彼の手を振り払う。
｢…A｣
消え失せそうな声だなんて聞こえなかった。
足早にその場から去る。
帰る夜道が酷く長く感じた。
『……っ、』
振り返っても闇だけ。
彼が追ってくる事なんてない。
これでいい、そう。
胸の押し潰れそうな痛みだなんて何れかは消えると思いたい。
──『……ごめんなさい。』
私の得た情報で”彼”が死ぬ事への謝罪。
私が居ることで”彼”が苦しむ事への謝罪。
脳裏に焼き付く、
見放され幼く苦痛に歪む表情。
私は彼を堕落させない事だけが全て。
もう彼がこのまま私に興味なんて無くせばいい。
……無くして欲しくない。
絡まる矛盾の想い。
嗚呼。
高まる鼓動を殺す事はこんなにも辛いものなんだ。
空虚な器にはもう戻れない。
…私を忘れないでください。
.
.
私を矢張拒絶した。
画面に閉じ込めていたのが間違いだった？
彼女の心へ
私が踏み込んでしまったのが間違いだった？
先生がベンチに座り、
此方を黙って見つめている。
｢先生、見ましたか。｣
彼女が突き飛ばす際、
若干震えた手で私の手首を掴んでいた。
街灯に照らされた顔が苦痛に抗い、唇を噛みしめ心から堪えている表情をしていた。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
訴えていた目。
先生は只、黙っている。
己が見ただろと言わんばかりに。
ずん、と重みのある胸を手で抑える。
｢…彼女らしい。｣
夜の冷たい空気が
彼女に触れてはいけない。
…言い聞かせてくる。
君がそう望むのなら。
…私は君を引き摺ってでも歩くよ。
この身で彼女と会うことはもう無かった。
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米粉めこ - 完結おめでとうございます！とても面白くて一気読みしました！ (11月29日 2時) (
レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
つくも(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2021年12月20日 16時) (レス) @page50 id: 3b5cd0d846 (このIDを非表示/違反報告)
amane(プロフ) - 一気読みしました。とても面白かったです！完結おめでとうございます。 (2021年12月20日 1時) (レス) @page50 id: 9f53b410f9 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！読んでいてとても楽しかったです！！！ (2021年12月17日 6時) (レス) id: b0014f1469 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2021年12月16日 8時) (レス) @page50 id: 813026887d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白氷 | 作成日時：2021年10月1日 22時
