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視線を織田作へと上げる。
青い目が貫き云う。
「本気で好きになったなら突き進めば良い。本当のお前を受け入れてくれるまで諦めるな。」
……此だから。
ストンっとその言葉の重みが喉に通る体感に陥った。奥から何か蠢くものを堪えるようにグッと酒を喉に通し込む。
安吾がこほんっと咳払いをする。
「僕からも言っておきたいです。
想いがある限りは進んだ方が得策かと。」
また身体に熱が通る。
二人とも真面目に応えてくれるものだから、笑いが込み上げてきた。
「ふふっ、織田作や安吾って想いの人が居たときがあるのかい?」
途端に安吾が噎せ、織田作はきょとんと豆鉄砲を食らったように瞬きをした。
「僕は別に…女性の方とは縁が有りませんから。」
「とか云ってこっそり逢い引きして?」
「してませんよ!」
安吾も酒が回っているのか頬を軽く火照らせて反論してきた。
ちょっかいを安吾にかけていたら、
織田作の衝撃な一言が。
「気掛かりな女なら居たな。」
十数秒間の沈黙。
カララン……っとまたグラスに氷が当たる音が響いた。
安吾の眼鏡が傾き、音を立てて落ちる。
同時刻で私は口を開けすぎて顎が外れかけた。
___「嘘ですよね…!?」
___「織田作が!?」
ダン…ッ!
机を叩き勢い良く立ち上がり、驚愕が隠しきれない友人二名。
「あぁ。二、三年前ぐらいか…?
冷静で落ち着いた声がとても心地善かった。」
親しい友人の告白に両隣は衝撃が大きすぎて酔いが覚めてしまう。
織田作に女が居るとか信じられない。
「織田作さん冗談ですよね?
___貴方に居たんですか!?」
「本当に君に居るのかい…!?」
「まだ子供だったな。」
失礼な感じもするが私も同意見だ。
そして当の本人は居たと宣言している。
相手は未成年だと。
私達は叫んだ。
「刃物ぶん投げて来たが、俺が追い詰めたら観念して一応会話が出来るまでは進展したぞ。」
「一寸待って。
理解が追い付かない。」
失神しそうな頭を安吾は抱え、震える動作で床に落ちた眼鏡を拾う。
一方私は額を指で何度も突いていた。
「気分転換ながら水族館に連れていった覚えがあるな…観覧車だったか?」
夜はまだ葺けていく。
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米粉めこ - 完結おめでとうございます!とても面白くて一気読みしました! (11月29日 2時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
つくも(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2021年12月20日 16時) (レス) @page50 id: 3b5cd0d846 (このIDを非表示/違反報告)
amane(プロフ) - 一気読みしました。とても面白かったです!完結おめでとうございます。 (2021年12月20日 1時) (レス) @page50 id: 9f53b410f9 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!読んでいてとても楽しかったです!!! (2021年12月17日 6時) (レス) id: b0014f1469 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2021年12月16日 8時) (レス) @page50 id: 813026887d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白氷 | 作成日時:2021年10月1日 22時