検索窓
今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:99,494 hit

#19 ページ19

__夢に夢を重ねていた。







数分の間の事だったのに、
私の身体はソファーで横たわっていた。






…夢を数分の間に複数見ていたようだ。



人は未知な生命体だ。つくづく実感する。









___「おはよう、Aちゃん。」





『……だ、……__。』









さぞかし間抜けな表情を私はこの時していただろう。欠伸している最中、言葉を失ったのだから。


隣に太宰幹部の爽やかな笑顔が見える。




昼の幻覚?
瞬きを繰り返して数秒間。









「そんなに見つめられるだなんてやはり私に好意があるんだねAちゃ__」






言葉を止めるが如く素早く彼の黒いネクタイを引っ張り、ソファへ倒した。
馬乗りになってナイフを首に向ける。




幻覚じゃない。現実だ。









「わぁ大胆。」




『何時から部屋に居たんですか…!』




「君が魘されていたぐらいかな。鍵が掛かって無かったから入ってそのまま数十分寝顔見てた。」








もはや首を掻き切る他ないと判断した。
ナイフをさらに包帯のある首へと押し付ける。







『もはや死刑です。さようなら。』



「気が動転している執行人に殺される末路も悪くないはない。」









そわそわする。






この人の声を聞いていると、

直接心に言われているようで。









「あーあ、可愛かったのになァ。
苦しそうに歪むあの顔。もっと見たかったよ。」









ツーっ…と太ももを指でなぞられ、身体が擽ったい感覚に陥る。



駄目だ、またあの時みたいな。









「聞いたよ?
ミスが多くて休ませてもらったと。

やはり効いちゃったのかな…アレ。」






頬を撫でる冷たい手。

固唾を呑む。




違う違う違う。








太宰幹部はナイフを押し付ける私の手首を掴み、そのまま身体を起こした。


身長差がある為に
彼の太股に乗ったまま彼を見上げる形となる。







『私があの事で動揺していると思っているんですか?』








笑ってはいるが、
心の内では冷や汗がじんわりと滲む。






待って、また近すぎる。

これ以上近くに居たくない。






彼はナイフを持つ私の手首を自らの首にまた近づけた。








「その答えは、

”仕事上されたこと無い”身体に訊いてみるよ。」









___ 妖艶な微笑を浮かべる悪魔は云う。









”死の伝達さん”、と。









『…久しぶりに聞きましたね。』

#20→←#18



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (230 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
334人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

米粉めこ - 完結おめでとうございます!とても面白くて一気読みしました! (11月29日 2時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
つくも(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2021年12月20日 16時) (レス) @page50 id: 3b5cd0d846 (このIDを非表示/違反報告)
amane(プロフ) - 一気読みしました。とても面白かったです!完結おめでとうございます。 (2021年12月20日 1時) (レス) @page50 id: 9f53b410f9 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!読んでいてとても楽しかったです!!! (2021年12月17日 6時) (レス) id: b0014f1469 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2021年12月16日 8時) (レス) @page50 id: 813026887d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:白氷 | 作成日時:2021年10月1日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。