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#12 ページ12

目に届く所でエリス嬢と首領が言葉を交えながら、愉しそうにお土産を選んでいた。


棚へ並べられた多くの小物から特大のぬいぐるみまで多様にある商品を眺める。





…水族館とか本当、数年ぶりだな。


懐旧な思いを抱く。




シャチのぬいぐるみを両手に抱えてみる。ふんわりとした綿の柔らかさに心地良く指が沈み込んだ。









「可愛いことしてるじゃないか。
特大のシャチ、欲しいのかい?」




太宰幹部がニヤリと笑みを浮かべ話しかけてきた。





『…別に触ってみただけです。』



「ベルーガなんて居るよ?」


『鮪を吊り上げたように持つんですね…。』









尻尾の付け根を持ってベルーガの特大ぬいぐるみを撫でる太宰幹部に笑いが零れた。

真顔でやらなくてもいいじゃないか。




私の笑う声にキョトンとしていた太宰幹部は悪そうな笑みで。







「よし、今日ははんぺんを焼いて食べよう。」



『ふふっ…やめてくださいよ。』







確かにあの白い姿で頭の所がぷるるんと柔らかいからといってはんべんに見立てるのは面白い。



緩んだ表情で彼に聞く。






『知ってますか?オルカのこと。』



「シャチのことだろう?」






両手に抱えているシャチの前足を遊びながら答える。






『えぇ。ある名前はキラホエール。
別名 殺し屋の鯨。

体の大きい鯨を襲う事で名付けられた名前です。』




シャチに視線を落とす。






『オルカはまた別名ですけどね。』



「だけどオルカはラテン語の意味では冥界の魔物とも言われてる。…ふふ、私の方が博学だねぇ。」





そうかもしれませんね、と微笑みを携えてシャチのぬいぐるみを名残惜しいが戻した。

視線をシャチのぬいぐるみに合わせる。






『此処では可愛く見える。
でも外の海ではいつまでも孤独なんですよ。

例え、集団であっても。』







太宰幹部と目を合わせる。
読み取れない感情の色をしていた。


彼は何気なく愉しそうに鷲色の目を伏せて、

ベルーガのぬいぐるみを棚に戻した。







「水族館好きだったりするだろう?」


『さぁ。』



「何なら今度一緒に来ようか。
デートしちゃおう。」



『お断りです。』







えーつまんないのぉ。



頬を膨らませる太宰幹部にハッキリ断りを入れた。




服の裾を引っ張られ、
視線を落とすとエリス嬢が特大のイルカを持って居た。








「今度観覧車行きたいの!」

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米粉めこ - 完結おめでとうございます!とても面白くて一気読みしました! (11月29日 2時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
つくも(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2021年12月20日 16時) (レス) @page50 id: 3b5cd0d846 (このIDを非表示/違反報告)
amane(プロフ) - 一気読みしました。とても面白かったです!完結おめでとうございます。 (2021年12月20日 1時) (レス) @page50 id: 9f53b410f9 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!読んでいてとても楽しかったです!!! (2021年12月17日 6時) (レス) id: b0014f1469 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2021年12月16日 8時) (レス) @page50 id: 813026887d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白氷 | 作成日時:2021年10月1日 22時

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