お化け屋敷の教え方 ページ22
首領からの贈呈品である手元のチケットを忌々しく見つめます。
___”親交を深めておいで。”
余計なお世話です首領。
貴方の目は虚無と化した闇。
双黒の目は明るく待ち望んでいた光を宿しています。
対照的とはこの事ですね。
「所要時間は30分ぐらいかぁ。」
「んなもん怖くねぇだろ。」
貴方の左腕では大宰君の右腕が、
貴方の右腕では中也君の左腕が
しっかりと離さないよう絡んでいます。
中也君の腕が震えているだなんて気のせいです。
「最恐レベルとか別にそんなんでも__」
「ふーん、中也怖いんだぁ。」
「ど、どうせ作りもんだろ!!」
暗闇を歩く双黒は相変わらずの様子です。呻き声も聞こえないのが有難いですね。
しかし、
何度貴方は歩いている間悲鳴を上げたでしょうか。
「Aってお…化け無理なの?」
『好きじゃ、ない。』
「好きなやつがあるかあんなもん。」
『震え方が尋常じゃないよ中也君。』
その度脇に引っ付く双方が肩を震わせています。貴方の悲鳴にビビっているのでしょうか。
「っ、な、なんだよ…。」
貴方は黙ったまま歩く足を止めてしまいます。
「”鉄の匂い”…。」
ぬるっとした…液のようなものが貴方の頬に落ちてきました。何だか生暖かいですね。
貴方が触れるより先に太宰君の指が頬をなぞります。
指に付いているのは…__朱。
落ちてきた方を見上げましょう。
その瞬間、
____吊り下げられた血みどろの死体の顔が、
三人の顔寸前までに下げられているのですから。
喉からひゅっと鳴る音は本能的なもの。
しかし出来ている人形にしては、こんなにも生暖かい朱を流すでしょうか?
あっ、よく見たら人形の肌が…___
数秒の沈黙、そして振りほどかれた右腕。
「う”ぁ”ぁぁ”ぁぁ”ぁ”あ”あッ!!」
『あっ、待っ』
「あっははは…ッ!!
中也逃げるの早すぎっ、くくっ傑作だ…!」
なんていうことでしょうか。
ご清聴ください、あの双黒の片割れの悲鳴が今居るフロアの上からでも聞こえてきます。
相当取り乱しているようで…。
追いかけようとする貴方は太宰君の腕が邪魔してきます。
暗闇で見える、
艶のある微笑は悪魔のようです。
「これで二人きりだね。」
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聖良(プロフ) - 初コメ失礼します。この作品とても好きです。更新頑張ってください。ずっと応援しています。 (2023年1月15日 11時) (レス) @page47 id: 6b3156758f (このIDを非表示/違反報告)
白氷(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» ゆっくり更新ですが、気長に待ってくださると嬉しいです…!ショタは永遠です。これからも【双黒の育て方】をよろしくお願い致します! (2022年8月15日 21時) (レス) id: 390407dfce (このIDを非表示/違反報告)
白氷(プロフ) - まるさん» お久しぶりです。なかなか更新できる時間が少なく、更新を滞っていました……全部見直してくれるだなんて本当に嬉しいです。更新気長に待って下さい…! (2022年8月15日 21時) (レス) @page45 id: 390407dfce (このIDを非表示/違反報告)
三斗(トリップ願望者) - また更新してほしいです。推しのショタって神ですよね(´∀`*)ウフフ (2022年7月30日 1時) (レス) @page43 id: 50d700a5ed (このIDを非表示/違反報告)
まる - お久しぶりです!最近はなかなか更新の連絡がないので少し心配でした(-_-;) いま、全部見直してきた所なんですが、やっぱり神ですね。死ぬほど神です。更新永遠に待ってます (2022年7月4日 23時) (レス) @page43 id: 5775e80e82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白氷 | 作成日時:2021年10月23日 17時