個性【魅了】の人間タラシ (ページ6)

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青天の霹靂ページ6

「轟炎司だ、小さい頃に訪ねているが、覚えてないのも仕方ないだろう、ほら、燈矢も挨拶しなさい」

隣に座っているのは白髪と赤髪が混じり合う少年だ、身長的に俺より年下だろう。

「轟…燈矢です」

長男なことは確定だろう、わざわざ轟炎司が引き連れているのだ

少々面倒臭いがこれから長い付き合いになるだろう、下手な政治家家系よりプロヒーローの家系の方が仲良くなるとそれなりの見返りはありそうだ。今の時代ヒーローの権力は大きい。

『よろしくお願いします、燈矢さん』

目を合わせたその瞬間

まるで落雷のような衝撃。水に沈められたような胸の苦しさ、息の詰まり、目の眩みを感じた

昔見た海の絶景よりも、庭に咲く青い花弁よりも

その青い瞳は、あまりにも幻想的だった

「ここからは2人で話すから、燈矢はAくんと外で遊んできなさい」

恐らく金関係の話だろう、轟炎司はそういう配慮もできる人間みたいだ。

「わかったよ、お父さん」

燈矢は立ち上がって、俺もそれに続いて立ち上がった

「A、中庭に案内してやりなさい」

『…わかった』

俺は燈矢を中庭に案内した、後ろからは側近も着いてきており下手に父親を貶すようなことを言えば後から告げ口されるだろう。愚痴くらい吐かせて欲しい

燈矢は轟炎司と離れてからなんだか気分が落ち込んでいるように見えた

なるほど、轟炎司は個性婚という噂は聞いていたので子供もてっきり放任…もしくは俺のように厳しく育てられてるのかと思ったが、少なくても燈矢には好かれているらしい

『蹴鞠でもして時間潰すか』

側近から鞠を受け取り、俺たちは遊ぶ、燈矢は特に強く蹴るようなことはせず、優しく上品に返してくる。年下とはとても思えない

繰り返し蹴っていると家の者が側近声を掛けて何か話し込んでいた

しばらくすると側近は俺の方に話し掛けた

「旦那様に呼ばれたので、少し席を外します、直ぐに戻ります」

そう言い、先程の客間へ向かって行った

しばらく静寂が流れた、遠くの方で祖母の琴の音が聞こえ、合いの手のように蹴鞠がリズミカルに音を鳴らす

「……Aって将来何になりたい…？」