六十六話 ページ19
次の日、昨日の吹雪なんて嘘だったかのように晴天が拡がっていた
俺は、登頂をするためにまた一歩を踏み出す。今日から岸壁のゾーンに入るため、ピッケルを使い岸壁を登り始めた。この方法もアイツが教えてくれた方法だ
酸素濃度が薄い為、息切れも起こしやすい。それを計算しながら崖を登っていく
ようやく、目標の頂上が見え始めた。登るたびに酸素濃度が薄くなっていくのを感じ取る。
肺に入る空気がかなり少ない気がした、だが、頂上はすぐそこだ。
今頃見ているであろうあいつに見せつけてやる。その一心で登り続けた
ようやく辿り着いたのは、崖を登りきった瞬間だった
息切れが止まらなくて、酸素を取り込もうと肺を激しく動かす。山頂だと言うのに、やはり標高が高いからだろうか、空気が薄い
俺は1度酸素マスクを外して白い息を吐きながら、目の前の景色を見つめた
写真では表しきれなかったその雲の奥行き、手を伸ばせば全てを掌握したような征服感、そして、視界全体を包み込むような圧倒的なその威風堂々たる山々
俺はその光景に固唾を飲んだ
トランシーバーで時刻を確認し、運営に交信した
「11:52分、登頂。」
俺は、エベレストの頂を制覇した
奇しくもその登頂時刻はあいつと同じで、奇跡と言わざるを得なかった
雲海が流れていく様は、まるで天界を表しているようだ
日が自分の体を照らし、じわりと体に纏わりついた雪を溶かした
その景色に圧倒されていると、あることを思い出した
そうだ、俺はここでアイツの遺体を回収しないと行けない
任務を思い出し、俺は直ぐに下山に向かった。雪が溶け始めると雪崩のリスクがある、それだけはどうしても避けたかったのだ
『エベレスト、登ったんだ』
下山中、ふと後ろから声が聞こえた気がした
後ろを振り向くが誰もいない
高山病だろうか、頭がおかしくなっているのかもしれない。頂上まで登って疲労が蓄積するのも原因のひとつだろう
だけど、確かに聞こえたその声は紛れもなくあいつの声だった。気のせいだと思い1歩進んだその時、目の前に赤い登山着が見えた気がして、俺は目を見開いた
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パインアメ(プロフ) - この作品を読み終えた者です。すごく感動しました！こんなに素晴らしい作品をありがとうございます😩🫰🙇♀️もうほんとに、最初から最後までエモかったです🥲 (1月1日 8時) (
レス) id: e9cfe4dc1d (このIDを非表示/違反報告)
冷夏(プロフ) - くもくもさん» コメントありがとうございます😊🙏すごく褒めて貰えて嬉しいです✨是非最後までご覧下さいね💕︎ (8月30日 23時) (レス) id: 0d9cd0d586 (このIDを非表示/違反報告)
くもくも(プロフ) - めちゃくちや好きです…こんなにも素晴らしい作品を本当にありがとうございます。好みにぶっ刺さりました！本当にありがとうございます。 (8月30日 0時) (レス) id: 702007f6f6 (このIDを非表示/違反報告)
冷夏(プロフ) - スイレンさん» コメントありがとうございます！毎日ご覧頂きありがとうございます！これからも投稿頑張りますね！ (8月18日 18時) (レス) id: 0d9cd0d586 (このIDを非表示/違反報告)
スイレン - 遅くなってしまい申し訳ないです。続編ありがとうございます！毎日楽しみに見させていただいてます！ (8月17日 0時) (レス) id: 1465516475 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷夏 | 作成日時：2023年8月14日 23時
