六十四話 ページ17
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ついに俺はエベレストに足を踏み入れる日が来た
メディアの奴らはこぞって俺を取材したがったが、ハナから興味はなかったので全て断り、単独で登頂し、遺体を回収した後下山を目指した
頂上は雲より高くにあり、酸素濃度も薄い。高山病にならないように対策をしながら、一歩ずつ確実に登る
登山は体力を使うが、それ以上に精神力を削られる行為だと知った
アイツがこの山を制覇した時の達成感は計り知れない、ただし、下山を失敗した時のことを考えると胸糞悪かった
俺の知らないところで、俺がナンバーワンヒーローになる前に死んだのだ。その事実が俺を苛立たせる
いつの間にか、自分の感情がアイツ中心になっていたような気がした
いつからだろうか、初めて話しかけられた時か、あの山の上で、赤い登山着を見かけた頃だろうか
1歩1歩の決断力が凄まじく、逆境すら味方をするあの眩しいほどの笑顔、俺はそれに惚れたのだろうか。
空を見ると、日が傾いており夜をチラつかせる。今日はここまでにしようと思い、テントを張る準備をした
リュックからテントを取り出していると、一緒に手帳のようなものも零れるように雪の上に落ちた
ネパールのエベレスト運営から預かったものだ、テント内で見ようと後回しにしていた。
「……遺書か」
そう思うと、妙に納得した。あるのなら郵送で届けて欲しかったが、当時のあの混乱した世の中では送ろうにも送れなかったし、紛失のリスクもあったからだろう、仕方がなかった
テントを張り終えると俺は中に入って手帳を開く、劣化は少なく、当時の紙質を保っていた
中身は予想通り、遺書のようなものだった。
拝啓、母へ────。拝啓、父へ────。拝啓、爆豪へ
俺の名前を見つけ、その後に綴られている所を読み進めた
«これを見ているということは俺は死んだって事だね爆豪。なんの山で死んだのかは分からないけど、俺が死ぬ程の山なんだから、かなりの難易度か、運が悪かったんだろうね。悔いはないよ
ヒーロー活動。頑張ってね»
そうとだけ綴られていた
あまりにも簡素で、あまりにも淡白
少し悔しく思った
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パインアメ(プロフ) - この作品を読み終えた者です。すごく感動しました！こんなに素晴らしい作品をありがとうございます😩🫰🙇♀️もうほんとに、最初から最後までエモかったです🥲 (1月1日 8時) (
レス) id: e9cfe4dc1d (このIDを非表示/違反報告)
冷夏(プロフ) - くもくもさん» コメントありがとうございます😊🙏すごく褒めて貰えて嬉しいです✨是非最後までご覧下さいね💕︎ (8月30日 23時) (レス) id: 0d9cd0d586 (このIDを非表示/違反報告)
くもくも(プロフ) - めちゃくちや好きです…こんなにも素晴らしい作品を本当にありがとうございます。好みにぶっ刺さりました！本当にありがとうございます。 (8月30日 0時) (レス) id: 702007f6f6 (このIDを非表示/違反報告)
冷夏(プロフ) - スイレンさん» コメントありがとうございます！毎日ご覧頂きありがとうございます！これからも投稿頑張りますね！ (8月18日 18時) (レス) id: 0d9cd0d586 (このIDを非表示/違反報告)
スイレン - 遅くなってしまい申し訳ないです。続編ありがとうございます！毎日楽しみに見させていただいてます！ (8月17日 0時) (レス) id: 1465516475 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷夏 | 作成日時：2023年8月14日 23時
