六十話 ページ12
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Aside
体が雪で包まれて、まともに体が動かなかった
ああ、詰んだ、死を覚悟する
ここまで来るとスリルは発動されなかった、スリルを感じるのはあくまで"死と隣り合わせな状態"であり、この場合はもう死を待つのみの為、個性の判定に入らない
体温で雪がじわりじわりと溶けてはいるものの、その範囲は少ないものだった
胎児のような姿勢で固まっており、数センチ位の自由が効く、効いたところでこの命が助かることは無いだろう
ならば、このまま潔く死んだ方が良い。
エベレストは標高が高い為、気温が低い、気温が低いところで死亡すると多くの場合腐敗せずミイラ化して、その場に残る
そして、遺体を運ぼうにも、ヘリコプターが届かず何年も置き去りにされるのだ、後に来た登山家の目印になることも多い
頂上直下の一帯には、俺のように、明るい色の登山着をまとったいくつもの遺体が散在している
登る途中にもかなりの数を見た、希望の黄色、冷静の青、高貴な紫や大地の緑、そして俺の情熱の赤
原色の登山着が折り重なった幻想的な光景
それを皆は
・
虹の谷と呼ぶ。
・
俺は数センチ動かして、胸ポケットから手帳を取り出した。遺書くらいを書く余裕はあるだろう
俺はこのエベレスト登頂を思い返す
白く沸き立つ山肌に、羽衣のように巻き付く淡い雲。
神聖な太陽が降り注ぎ、その影は山の逞しさを助長する。
標高は年々伸び続けており、現在は8,849mに達している、地球上の最高峰。
雪をかき分け、ペンを取り出す。ああ、ボールペンじゃなくて良かった。鉛筆なら液体ではないから凍らない。
寒さで言うことを効かない、痺れ、硬直し始める手を無理矢理動かし、紙に鉛筆を走らせる
俺はこの山を登ったことを光栄に思うと同時に、強く後悔したが、後戻りは出来ない。
その山の名は、大地の母神、通称エベレスト。
その母は、時に踏み入った者を山頂より高い場所へと舞い上げる。
体温が恋しい。
俺は霞む視界の中、意中の人を思い浮かべた
『ありがとう、爆豪。愛してる』
俺は瞳を閉じた
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パインアメ(プロフ) - この作品を読み終えた者です。すごく感動しました！こんなに素晴らしい作品をありがとうございます😩🫰🙇♀️もうほんとに、最初から最後までエモかったです🥲 (1月1日 8時) (
レス) id: e9cfe4dc1d (このIDを非表示/違反報告)
冷夏(プロフ) - くもくもさん» コメントありがとうございます😊🙏すごく褒めて貰えて嬉しいです✨是非最後までご覧下さいね💕︎ (8月30日 23時) (レス) id: 0d9cd0d586 (このIDを非表示/違反報告)
くもくも(プロフ) - めちゃくちや好きです…こんなにも素晴らしい作品を本当にありがとうございます。好みにぶっ刺さりました！本当にありがとうございます。 (8月30日 0時) (レス) id: 702007f6f6 (このIDを非表示/違反報告)
冷夏(プロフ) - スイレンさん» コメントありがとうございます！毎日ご覧頂きありがとうございます！これからも投稿頑張りますね！ (8月18日 18時) (レス) id: 0d9cd0d586 (このIDを非表示/違反報告)
スイレン - 遅くなってしまい申し訳ないです。続編ありがとうございます！毎日楽しみに見させていただいてます！ (8月17日 0時) (レス) id: 1465516475 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷夏 | 作成日時：2023年8月14日 23時
