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岸くんの希望に溢れる顔を見たからだろうか？
帰宅して、苦手なビールを飲んでみたり、何度記憶に蓋をしても、あの頃の思い出が蘇る。
大学に入学して間もなく、私にも遅い春が訪れた。
同じサークルの先輩からまさかの猛アタックを受け、そんなこと初めてだった私は、どんどん先輩に惹かれて、初めての恋をした。
幸せな学生生活が始まった気がして、バカみたいに浮かれてたけど、現実は甘くなくて。
繰り返される浮気と、そのくせに酷い束縛。
日に日にやつれていく私を心配した友達数人が協力してくれて、約１年の交際は終わった。
ちっとも幸せなんかじゃなかった。ただ、辛いだけの恋だった。
もう恋愛はしない、男性は信じない。
彼氏とやっと別れたあの日から、私はがむしゃらに勉学に励んで、今の会社に入ったのだ。
今の会社でも、私には夢があった。
商品開発部で研究や、人々に役立つ商品を作りたい、そんな希望に満ち溢れていた。
面接の時も、その意思はハッキリと伝えていたけど、新人研修の後で発表された配属先は、現在の営業部。
絶望しか無かったけど、同じ課に山田も配属されたこと、平野が異例の出世をした事は大きな刺激になったし、この場所で踏ん張るんだって思いながら、３年間頑張ってきた。
山田はいつか結婚するんだろうけど、私にはそのプランは組み込まれてないから。
気付けば涙が流れていたけど、もう私にはがむしゃらに頑張る気力もない。
今の営業部での仕事もやり甲斐はある。
開発部への夢はとうに忘れたはずなのに、こうして未練がましく涙が出るのは、やっぱり岸くんと接したからだろう。
平野のことまで思い出して。
『お前もさ、絶対諦めんなよ！開発部への異動だって、十分可能性あるんだからさ？』
渡米前、同期で送別会をした時、平野が私の隣に座ってそう言った。
眩しかった。その自信に満ち溢れた笑顔が。
『ありがとう。頑張るね』
張り付いた笑顔で答えたと思う。
明日が休みで良かった。
泣いて、泣いて、そのまま眠ってしまったから。
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夢(プロフ) - ちゃちさん» ありがとうございます！本当はもう少し長く書きたかったのですが(^_^;)感想嬉しかったです！ (2020年1月27日 15時) (
レス) id: c5a5700a1a (このIDを非表示/違反報告)
ちゃち(プロフ) - 岸くんらしい爽やか簡潔な物語で、楽しく読めました。 (2020年1月27日 7時) (レス) id: 90dd5545be (このIDを非表示/違反報告)
夢(プロフ) - いちごさん» 最初のページにも書いてますが、何故か名前変換が上手くいかないようで、申し訳ありません。運営さんにも質問してるのですが、数カ月放置されてまして・・。すみません。 (2020年1月11日 13時) (レス) id: c5a5700a1a (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 名前が固定ですが変えられませんか？>< (2020年1月11日 9時) (レス) id: 78e4aebe02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢
| 作成日時：2020年1月2日 0時
