4 ページ4
私が案内したのは、小さな総合病院。
田舎だから、ここくらいしかない。
紫耀くんは深めのキャップを被ると、
『さ、行きましょうね？歩けますか？』
と、聞いてきた。
歩けますとも！
というか、隠しきれないオーラがだだ漏れてるから、近くにいたくないんですが・・。
『・・あの、何度も聞いて申し訳ないのですが、本当に大丈夫なんですか？気付かれたら・・』
『本当に大丈夫ですよ！中谷さんは、自分の心配だけしてて下さい。僕が最後まで責任を持ちますから』
ーあぁ、眩しい。
こうなったら、さっさと診察を済ませてしまおう。
休みの日は田舎に行くと、テレビか何かで知ったのを今更ながら思い出し、せっかくの休日を私のせいで台無しにした罪悪感がおそう。
早く解放してあげたい。
その一心で、私は入口に向かって歩き出した。
紫耀くんは、私の歩幅に合わせて、ゆっくりと隣を歩いてくれる。
いつでも支えられるようにだろうか？
片手は私の背中の辺りに軽く伸ばされている。
本当に優しいんだなぁ。
心臓が怖いくらいにドキドキして、顔がまともに見れない。
受付のお姉さん達の、痛いくらいの視線を感じながら手続きを済ませる。
あの人カッコよくない？なんて囁く声が聞こえてくるけど、紫耀くんは平然としてるし、私だけがビクビクしてる。
待合室の椅子で、当たり前のように隣に座る紫耀くんは、キャップを少し上げて、
『中谷さんって、観光課って電話で話してありましたけど、何のお仕事されてるんですか？』
と小さな声で聞いてきた。
『・・あ、あの、町役場で、働いてます。はい』
至近距離の紫耀くん、勘弁して下さい・・。
『うわ〜、すごいなぁ。公務員さんってことですよね。お仕事大変でしょう？』
『いえいえ！そんな・・。ただ、地元が好きなんです。・・何もないところですけど、少しでも、活性化にお役に立てたら、と』
自分で言って、恥ずかしくて少し笑った。
『あ、やっと笑ってくれましたね。良かった〜』
そう言われて横を見れば、にっこり笑顔で私を見つめる紫耀くんの美しい顔。
その笑顔を、つい、勘違いしてしまいそうになる。
先生、早く私を呼んでください！
紫耀くんと世間話をどうにかしながら待つと、ようやく私の名前が呼ばれて、診察が無事に終わった。
頭も打ってないし、軽い傷の手当をしてもらい、ようやく開放されるかと思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 525人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ことみ - はい！こちらこそよろしくお願いします!!(*^^*) (2019年11月19日 22時) (
レス) id: 0327457350 (このIDを非表示/違反報告)
夢(プロフ) - ことみさん» コメントありがとうございます！楽しみにして下さって、すごく励みになります(o^^o)最後までお付き合い、よろしくお願いします！ (2019年11月19日 22時) (レス) id: 4cde4d0176 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ - 初めまして。お話を読ませていただきました！とても面白くて少し切ない気持ちがあって続きがすごく気になってしまって…更新楽しみにしています!!頑張ってください!! (2019年11月19日 22時) (レス) id: 0327457350 (このIDを非表示/違反報告)
夢(プロフ) - まなさん» コメントありがとうございます！名前、固定してないのですが、不具合が起こっているのか(>_<)申し訳ありません。素敵なお話と言って頂き、とても嬉しいです！ (2019年11月17日 10時) (レス) id: 4cde4d0176 (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - 途中まで拝読させていただきました！とても素敵なお話ですね…！ちなみにお伺いしたいのですが、美月さんというお名前は固定なのでしょうか？名前の変更ができるとさらに楽しめると思います！！設定に名前入力しても反映されていないようなので… (2019年11月17日 9時) (レス) id: bbc2829d96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夢
| 作成日時：2019年9月28日 23時
