11 ページ13
『急に誘ってごめんね。何か好きな食べ物ある？』
優しく聞かれるけど、変に緊張して何も浮かばない。
『お、お任せします。』
『うん。わかった』
そう言うと、田中さんは田舎町を抜け市内の方へと進んでいき、お洒落なレストランへと到着した。
こういうお店は初めてで、何だか落ち着かない。
田中さんは慣れた雰囲気で、適当にオーダーしてくれた。
『あの、それで、私にお話って何でしょうか？
何かミスでもありましたか？』
田中さんは目を丸くして驚いた。
『いや、こんなところに連れてきて、仕事の話なんてしないよ？
中谷さん、不思議に思ってなかったの？』
『・・すみません。こういう経験が無いので・・。
てっきり、私への注意かと』
田中さんは少し笑うと、私とゆっくり話してみたかったと言った。
時々見つめられる視線が恥ずかしくて、あまり味は分からなかったけど、田中さんの趣味の話を聞いたり、私の家族の話をしたり、楽しい時間が過ぎた。
帰りの車内で、田中さんは少し寄り道したいと言う。
連れて来られたのは、夜景の綺麗な場所。
『すごい綺麗・・』
思わず呟いて、助手席を出ようとした時、右手を強く掴まれた。
『ごめん。話を聞いて。』
『ーはい』
怖いと思った。
『俺、中谷さんが配属されてから、ずっと気になってた。一生懸命に仕事してる姿も、楽しそうに話してる姿も、いつも見てた。
・・好きなんだ』
生まれて初めて、告白された。
でも何故だろう。
頭に浮かぶのは紫耀くんの顔で。
『・・すみません。私、好きな人がいるんです』
絶対に叶わない恋だけど。
田中さんは、しばらく黙りこんだ。
『その人と、付き合ってるの？』
『まさか！私の、完全な片思いです』
次の瞬間、ぐっと身体を引き寄せられた。
『じゃあ、俺を好きになってよ』
狭い車内で、田中さんに抱きしめられている。
『だいたい無防備だよ？こんな場所、誰もこないし。今、俺が中谷さんを襲っても、文句言えないよ』
ゾクリと寒気がした。
嫌だ。
全部自分が悪いけど、こんな人に初めてを奪われるのは絶対に嫌。
『離して下さいっ！』
全身の力を振り絞って身体を引き離すと、夢中で車を飛び出した。
ここがどこかも分からない。
でも、とにかく逃げなきゃ。
必死で夜道を走った。
誰か、助けてー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 525人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ことみ - はい！こちらこそよろしくお願いします!!(*^^*) (2019年11月19日 22時) (
レス) id: 0327457350 (このIDを非表示/違反報告)
夢(プロフ) - ことみさん» コメントありがとうございます！楽しみにして下さって、すごく励みになります(o^^o)最後までお付き合い、よろしくお願いします！ (2019年11月19日 22時) (レス) id: 4cde4d0176 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ - 初めまして。お話を読ませていただきました！とても面白くて少し切ない気持ちがあって続きがすごく気になってしまって…更新楽しみにしています!!頑張ってください!! (2019年11月19日 22時) (レス) id: 0327457350 (このIDを非表示/違反報告)
夢(プロフ) - まなさん» コメントありがとうございます！名前、固定してないのですが、不具合が起こっているのか(>_<)申し訳ありません。素敵なお話と言って頂き、とても嬉しいです！ (2019年11月17日 10時) (レス) id: 4cde4d0176 (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - 途中まで拝読させていただきました！とても素敵なお話ですね…！ちなみにお伺いしたいのですが、美月さんというお名前は固定なのでしょうか？名前の変更ができるとさらに楽しめると思います！！設定に名前入力しても反映されていないようなので… (2019年11月17日 9時) (レス) id: bbc2829d96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夢
| 作成日時：2019年9月28日 23時
