君が救ってくれたから(しょうれん) (ページ3)

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郷愁ページ3

『大丈夫？駐車場まで歩ける？』

『うん。大丈夫』

紫耀は昔と変わらずに優しい。

初めて乗る彼の車は、ふわりと良い香りがした。

懐かしい、大阪の街。

俺達が育った街は、この駅から１時間程の距離だけど、紫耀の車は１０分もかかならいマンションへと入っていく。

『ここに、、住んでるの？』

『うん。仕事関係の荷物も多いし、出張も多いからね、駅に近いほうが便利だから』

『そっか』

お洒落なマンションは、カッコいい紫耀に良く似合う。

『廉、晩ご飯はもう食べたの？』

もう真夜中に近いのに、彼がそんなことを聞くのは、この痩せた身体のせいだろうか。

たしかに何も食べてないけど。

『うん、食べたよ』

余計な心配をかけたくなくて、また嘘をついた。

明日の朝になったら、紫耀が起きる前に姿を消そう。

そんなことを考えてるうちに、気付けば目の前には大好きだった、たこ焼きが置かれていた。

『いや〜、久しぶりに廉の顔見たらさ、無性にたこ焼き食べたくなっちゃった！
冷食なんだけど、嫌じゃなかったら一緒に食べようよ。ね？』

『う、うん。ありがとう』

アツアツのそれは、懐かしいソースの味と、今も変わらない紫耀の笑顔が胸一杯に広がって。

走馬灯のように蘇る、大阪での楽しかった日々。

『うまいな、、。ほんまに、、うまいわ』

気付けば泣きながら食べていた。

『ふふ。久しぶりに聞いた。廉の関西弁』

『あぁ。、、そういえば、久しぶりやな、、』

そう言ってまた泣いた俺の背中を、紫耀は何も言わずに、ずっとさすってくれたんだ。