君が救ってくれたから(しょうれん) (ページ11)

今日:16 hit、昨日:2 hit、合計:146,217 hit

証拠ページ11

廉side

世の中って不思議なもんやな。

死のうと思って訪れた地元で紫耀に再会して、なんやかんや元気とアドバイスもらって、当たり前の月曜日を迎えてるんやから。

渡されたボイスレコーダーをスーツの内ポケットに忍ばせて、いつものように出勤した。

『おはようございます』

『おはよう。永瀬、今日は何だか顔色良いな！最近元気ないから心配だったんだよ』

『ありがとうございます。心配おかけしてすみません。大丈夫です』

『ん。あまり無理するなよ』

先輩達は、今日も変わらずに優しい。それだけでも、俺は充分恵まれてるのかもしれない。

そんな事を思いながら、いつものように仕事をする中で、どうしても上司に承認を取らないといけない案件があった。

話しかけるだけで嫌な顔をされるのは分かってるから気が重くなるけど、証拠集めのためや！って、気持ちを切り替えて席を立った。

『失礼します。課長、承認頂きたい書類があるのですが、宜しいでしょうか？』

『、、ちっ。早く出して』

俺の顔を見ることも無く、小さな舌打ちとともに返事する上司。

確か紫耀には、上司の態度もノートに記録するように言われてたな。

不機嫌を絵に描いたような態度でバサバサと書類に目を通し、印鑑を押そうとした上司の元に、別の社員がやってきた。
用件は俺とほぼ同じだ。

《課長、すみませんがこちらの書類をー》

『お、はいはい。この書類だね。うん、すぐに見るから待っててくれ』

やっぱりや、、。俺の書類を無視して、後から来た社員と雑談なんてしながら、にこにこと書類に印鑑を押した。

ボイスレコーダー、ちゃんと録音出来てるやろか？
そんなことを思いながら、２人の楽しそうな会話をぼんやりと聞いていた。