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別れ5 ページ13

北斗side



2人きりになった部屋で、とりあえず並んで座る。





『あの、さ。うん、、。事務所を辞めるっていうAの気持ち?は分かった。でも、京本が言ったように、俺達が別れなくても良くない?』





『、、そうかもしれないけど。今、ちゃんと決断しないと駄目だと思うの。
それにね、もう次の仕事、決まってるから、、』




『決まってんの?!どこ?!』




思わず立ち上がって驚く。



そんな素振り、全然見せなかっただろ。






『ごめんなさい。それは言えない』






『ねぇ。Aはさ、、本当に俺のこと好きだったの?』




しっかりしたAらしい、といえばそれまでだけど、聞かずにはいられなかった。




俺だけに見せてくれていた、可愛らしい笑顔も、甘える顔も、あの時の妖艶な顔も、どこまでが本当だったのか分からなくなる。





『大好きだよ!今だって、、本当はほっくんにギュッてしてほし』




その言葉を遮って、強く強く抱きしめた。




『ほっくん、、。大好き、、大好き、、』




肩を震わせて、俺の中で泣いているAは、あまりにも儚げで消えてしまいそうで。




抱きしめる力が更に強くなる。




『これが、、沢山悩んで、Aの出した決断なんだよな、、』




『・・うん。裏切るような事して、本当にごめんなさい』




俺が、もっとちゃんと、Aの変化に気付いてやれてたら、結末は変わったのだろうか。



幸せな日常に甘んじて、目の前の笑顔だけを見ていた自分が恨めしい。




『俺こそ、こんなに苦しんでいる事に気付けなくてごめん。A、俺を好きになってくれて、、本当にありがとう。
新しい仕事、、頑張って』




『、、うん。本当に、、ありがとう。私、ほっくんと
いれてすっごく幸せだった』




もう一度、その温もりを忘れたくなくて、この腕に抱き寄せた。




『頑張れよ!応援してるから』



笑顔で言った俺に、Aも、大好きな可愛い笑顔で大きく頷いた。

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作者名:恋柱 | 作成日時:2021年6月17日 18時

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