君と私と。俺と君と。

Ls#8 reason ページ7

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｢ただいま！ねぇ、みて！｣





そろそろ髪を染めたいなぁって思って

思いついた。



そうだ、侑司さんと同じ色にしよう。



思いたったらすぐ行動派の私。

早速美容院へ行ってきました。




｢同じ色にしてみた！｣




肩下まである髪を引っ張ってアピールすると

ソファに寄りかかっていた身体が

勢いよく起き上がり、

びっくりした顔でこちらを見る侑司さん。





｢え！染めたん？！｣

｢そう、突然決めたんだけどね、｣

｢もー、なんなんもう｣

｢いや、なんなん、って言われても、｣

｢……似合ってるやん｣

｢え、ありがとう！｣





侑司さんに似合ってるって言われたら

やっぱり染めて良かったなって思う私は

単純なのかな。


何となく小っ恥ずかしい空気になった時

侑司さんが口を開いた。





「あ、写真、写真撮ろう」





早く早くって急かす侑司さんの隣に座る。





｢お、うまく撮れた、自慢しよ｣

｢なんの自慢にもならないでしょ？笑｣






ふと時計を見ると

そろそろ侑司さんの出発の時間。





｢あ、そろそろ時間だよ｣

｢よし、行ってくるわ」




ヒーローインタビュー頼んだ、って

そう言って笑えば

そうやな、って優しく微笑む。





｢じゃ、いってきます」

｢うん、いってらっしゃい｣









そして暫くして始まった試合。

３回裏。ライオンズの守備。

ツーアウトでの二球目。



芯を外れたあたりが、

レフトの守備範囲まで伸びる。





……レフト、きた！





いつもみたいに、

帽子を落としながら走る侑司さん。

お願い、追い付いて！




そして、白いボールは侑司さんのグローブに

吸い込まれるように”ストン”と入った。



こうやって試合の内容に

ハラハラしてしまうのはいつもの事で。



チームメイトとハイタッチをしながら

ベンチへ戻る侑司さんを見ながら

ほっ、と安心のため息をひとつ。




だけど、少し異変に気づく。

いつもならすぐに被り直す帽子を

今日は手に持ってなかなか被らない。



少しだけ不思議に思っていると

自分の頭を優しくポンポン、と2回触った。




まるで自分で自分を褒めるようで、

”ありがとう”って感謝しているようで。





随分、可愛いことするなぁって

そう思った。






(まさかだけど、髪に感謝してないよね)
(いや、さすがに…ないよね、)
(変なこと期待しちゃダメだって分かってる)
(……えぇ、でも、)





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