君と私と。俺と君と。

Fs#9 children ページ34

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｢たく！｣

｢おぉ！大きなったなぁ！｣




知り合いの子供が観戦に来ていた。

可愛くて、可愛くて、仕方なくて。




ただでさえ、知り合いの子供でこうなら、

自分の子供ならどうなるんだろう、と

自然と考えてしまう。




______Aとの間に子供が出来たら。




こんな事考えてるなんて、

Aに知られたら引かれてしまうかな……。




"結婚"という門もくぐっていないのに、

気が早すぎやし、という自分の思いを

今は、一旦、スルーして。

今だけはいいやろ、と再び考えを戻す。




………女の子か、男の子か。




どっちにしたって

Aの子なら絶対、可愛いに決まってる。




……俺に似たらどうなるんやろ？




｢目は卓さん似だなぁ〜｣とか

｢結構A似やろ、｣とかって言うんかな。




そんで、喋れるようになったら、

……｢たく｣って呼ばせたくて。

ううん、呼んで欲しくて。

呼んだら可愛いやろな、と思って。




でも時々は｢パパ｣って呼ばれて。




｢苦しい｣って言うまで抱きしめて。




球場にも時々呼んで、

活躍して、かっこいい所を見てほしいし、

ヒーローインタビューで抱っこしたり、

………いや、それはせん方がええか。




休日はみんなで出かけたりして、

男の子でも、女の子でも、

一緒にキャッチボールはしたいし

野球を好きでいて欲しい。




戦いごっこでも、おままごとでも、

絶対楽しいんやろな。





……それに、何より、

｢ママ｣、なんて呼ばれるAが見たいし

俺も｢パパ｣、なんて

Aから呼ばれたりするんやろか。




うわ、……それって……結構やばい。

……いや、やばいやろ？




｢卓さん？｣

｢……あ、｣

｢なにニヤけてるんすか、笑｣





現実に呼び戻した仲間の声で

あかんわ、俺、ってブレーキを掛けて。

慌ててロッカー室を飛び出した。






(卓さん、それ、俺の帽子っす)
(え、あぁ、ごめん)
(今日ほんまどうしたんすか？悩み？)
(えっ……と未来予想？)
(……はい？笑)





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