＊目黒side ページ13
だてさんが病棟に戻ってここには俺と女の子の2人きりになった。
翔太くんの話だとそろそろ鎮静が切れて覚醒する頃だし、ベッドサイドでカルテの入力でもしてようかな。
目が覚めた時に知らない場所で1人でって怖いもんね。
黙々といまだにうまく使えないパソコンと睨めっこしていると女の子が小さく動いた気がした。
気がついたかな？
「目覚めた？僕のことわかるかな？声聞こえたら手ぎゅってしてくれる？」
弱々しいけどちゃんと握り返してくれた。
「うん、わかるね。よく頑張ったね。今、ここが痛いよーとか辛いよーってところあるかな？
声出すのしんどかったらまた手ぎゅってしてほしいな」
優しく声をかけて女の子の様子を探る。まだはっきり覚醒してないから意思疎通を図るのは難しいかな。
「、、ぁ、」
「ん、？声、出せる？無理しちゃダメだよ？」
「こ、、どこっ、？」
「ここね、病院。お腹、痛かったでしょ？もう大丈夫だからね。」
目線を合わせて、優しく、静かなトーンで話すことを意識する。小さな子供にはまず信頼してもらうところからって、昔阿部ちゃんに教わってから意識していることだ。
「……ぉ、、」
「ん、？なぁに？ゆっくりでいいよ、俺ここいるからね」
「ぉ、かね、、なぃの、、」
“お金がない“
女の子は確かにそう言った。でも、起きて一番に気にすることか？
この歳の子供ならまずは親御さんが気になるんじゃないのか？
疑問に思うことはあるけど、まずは少しでもこの子の不安要素を取り除いてあげたい。
「お金のことはね、心配しなくていいよ。大丈夫。」
そう言ってあげると女の子はさっきより少しだけホッとした表情を見せた。
「僕から一つ聞いてもいいかな？」
小さく頷いたことを確認して話を続ける。
「ありがとう。じゃあ、お名前、言えるかな？」
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作者名：Yurinoya | 作成日時：2023年6月24日 23時
