いつも、ありがとう。 (ページ12)

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佐久間が抑制帯を持ってきて、痛くないようにタオルを挟んで腕と腰につける。

「佐久間、ありがとう。この子は俺たちが責任持って見るよ。

帰ってちゃんと休んで。何かあったらすぐ連絡するから。」

「俺もちょくちょく様子見にきます。安心してください。

なんかあった時すぐ気づけるように目が覚めるまでは救急で見ておくので。」

翔太と阿部は渋々といった感じでひかると佐久間に背中を押されて帰っていった。

「…こんな酷いことする親がいるんですね。なんか、悔しいっす」

「本当にね。これからこの子のことたくさん知って、この子が笑顔になる手伝いができたらいいね。」

「俺まだ時間に余裕あるんでここいますよ。だてさん病棟の引き継ぎとか大丈夫っすか？」

「あぁ、そろそろ一回戻らないとかな。また様子見に来るよ。」

この短時間で、俺は彼女の何を知れたのだろう。

抱えている荷物のどれくらいの重さを分けてもらえたのだろう。

病棟に戻る廊下で考える。

彼女の目が覚めることを望むのとは裏腹に、彼女の目が覚めてからどう接したらいいのか分からない自分が腹立たしかった。