【浦島坂田船】あやかしの海賊船2 【うらたぬき】 (ページ20)

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航海記録53 ページ20

志麻とボクは幼馴染だった。

ボクと志麻は問題児で、よく村でいたずらをしていたよ。

なぜだか村人たちからはほとんど嫌われてなかったけど。

でもね、あいつだけはボクたちを猛烈に嫌ってたんだ。

シナ。

女みたいな名前の癖に、男で、村の権力者。

この村の儀式を執り行う人物でもあった。

ああ、儀式の由来について詳しく知りたい？

...この村はね、遥か昔、戦争に使われたんだ。

正しくは戦争で負けて、島流しにされた兵士とその家族が住んでいた。

住まわされた環境は最悪で、病原菌が飛び交うような、とてもじゃないけど家とはいえないところだったらしい。

だから、何人もの人が苦しんで死んだ。

その霊を慰めるために始まったのが、この儀式さ。

儀式はとても簡単で、残酷なものだった。

年若い子供を霊に差し出す。

差し出すだけならまだいい。

どうするかは知らないけど、２度と人間の姿に戻れなくして、村から追い出すんだ。

その霊に差し出す男子を、志麻とボクにしたんだ。