プラトニック (ページ8)

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増田サイド

「手越？」

繁華街から駅につながる道で、学生服を見かけた。別に興味はなかったけど、終電間近に歩いてるのは目立ったし、シゲと同じ制服が目に留まった。
なんとなく見てみると知り合いだったから、驚いた。

「何してんの？」
「ちょっと、バイト帰りっていうか」
「こんな時間まで？」
「あ、いや、バイト帰りに、お客さんと話してて」

この前は堂々と話していた手越が、珍しく歯切れが悪い。
その様子が気になって、問いかけようとしたところに、ぐう、と間抜けな音がなった。見ると、手越が顔を真っ赤にしていた。

かわいいところあるじゃん。

「お前、おなかすいてるの？」

思ったよりも不機嫌そうな声で、こいつもびびるかと思ったけど、手越はそっと頷いた。

***

「すっげえ！まっすーの家って大きいんだね！」

でかい声をあげる手越を見て、つれてきたことをちょっと後悔した。
マンションのペントハウスだから苦情が来ることはないけど、勘弁願いたい。

しかし、食卓に簡単な夕食を並べると、目を輝かせた。

「めっちゃ、美味しい！」
「親に連絡しなくていいの？」
「へーき。親は仕事で帰らないって言ってたから」
「ふうん」

それで、夜中にほっつき歩いてたのか、と納得する。親が仕事に忙しくて放任主義。よくある話だ。

「たまになら食べに来てもいいよ」
「まじで？」
「別にひとり分作るのも、ふたり分作るのもそんな変わんないし」