プラトニック (ページ2)

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手越サイド

｢ほら、食えよ｣

そう言って差し出されたのは、購買で売っていないはずの、高級感あるバケットのサンドイッチ。中身は大きいハムとレタスだから、シゲの手作りだろうけど、パンがいつもと全然違う。

美味しそうだとは思うけど、残念ながら食べる気力がおきない。

｢いらない。シゲが食べなよ｣

｢俺は自分のあるもん｣

ほら、と見せて来たのは同じサンドイッチ。

｢2個食べりゃいいじゃん｣

｢そんな食えねえもん。手越が食べないなら、捨てるよ？｣

その言葉を言われると弱い。

幼馴染みだけあって、俺の性格なんかばれてて、口で勝てた試しがない。

｢ありがと｣

突っ伏してた机から起き上がり、サンドを受け取ると、少し照れ臭そうに笑う。

それがまぶしくて仕方がない。

シゲはずっと変わらずに俺に接してくれている。

小さいときからずーっと。

俺が金髪にして、高校で浮くようになってからも、真面目で成績優秀なシゲは変わらない。中高一貫の進学校の中で、金髪にしてるのは俺だけで、しかも頻繁に遅刻する俺は、不良として扱いにくい存在なはずで。
だから、俺と付き合ってたっていいことないのに。こうやって当たり前のように昼飯をたべてくれる幼馴染みの存在に頭が上がらない。