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「翔太、食べないの?」

スプーンを握った手はすっかりと止まってしまった。

ただ溶けていくアイスをぼんやりと眺めていた。

「…もういらない。」

ただのわがまま。

「そっか。」

また心に穴が空いちゃった。

なんで怒んないの?

こんな真夜中、せっかく買いに行ったアイス、一口しか食べてねぇのよ?

ふざけるなって怒ったっていいのに。


傷つけているつもりが傷ついて本当は優しくしたいのに優しくされて。

だけどそれは偽善でしかなくて。


いつになったら怒ってくれる?

どこまで傷つけたら怒ってくれる?

怒りでもいいから涼太の本当の気持ちを頂戴。



「キスして?」

だから傷つける。

困らせる。

だって、大好きなんだよ。


座っているソファーの背もたれに涼太の左手が置かれる。

右膝が俺の足の傍に沈められてギシリと音を立てる。

骨ばった手で顎を持ち上げられて、唇が重なった。

甘く唇を吸われて全身が歓喜に震える。

ちゅっと音を立てて離れ、最後に舌で下唇を嘗められた。


「甘いね。」

くらくらする。

なぁ、そのアイスみたいにお前もドロドロに溶けてよ。

涼太が恋に堕ちたらいいのに。







ぐずぐずと燻りながらも時間は経っていく。

気がつけば『恋人同士』という関係になってから2ヶ月が過ぎていた。


俺の欲するたった一つの言葉は未だ一度も紡がれることはなく俺も告白して以来、一度も口に出せなくなったまま。

ただ心の中で何度も思うだけ。

大好き。

大好き。

せめて涼太の本当の気持ちを俺にぶつけてよって願っては傷つけて。

傷つけているつもりが傷ついて、もう2ヶ月もそんなこと続けてる。



それでも傍に居てくれるだけで幸せ。

恋人ごっこでも涼太がキスして優しく微笑む相手は俺だけだから。

だからさ。

この関係が儚いものだなんて思ってなかったよ。

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かすみ。 - しょっぴーと舘様がお互いを想うからこそ生まれてしまったすれ違いが、辛くて、辛くて、思わず私まで涙が溢れてしまいました…。最後にはお互いの想いが同じであることに気がつくことができて、心から安心しました。素敵な作品をありがとうございました✨ (2022年8月12日 21時) (レス) @page25 id: 20fc716983 (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - 小鳥遊さん» 嬉しいです。こういうテイストの話がだんとつ好きなので似たようなのばっかり書いちゃうんですけども…笑 好きでえんえんするしょうたくんをまた書きたいです笑 (2020年5月5日 3時) (レス) id: 1dc1d4bb39 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊(プロフ) - めっちゃめっちゃ素敵なお話ありがとうございます〜好きで好きでたまらないしょった可愛すぎました、、ゆり組に共依存って似合いますね、今からめめあべも読んできます!!イチさん素敵なゆり組のお話ありがとうございました!! (2020年4月25日 0時) (レス) id: 8620d40c0e (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - みちさん» フォーエバー。めめあべもおねぎぃします。 (2020年4月5日 8時) (レス) id: 89e040e4cb (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - ゆきんこさん» コメントありがとうございます(^^)幸せになってくれて安心。多分これからはもういいってくらい愛を囁かれてめちゃくちゃ大事にされます。次も作ったのでお願いします! (2020年4月5日 8時) (レス) id: 89e040e4cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イチ | 作成日時:2020年2月14日 22時

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