●そこに愛がある限り ページ9
迎えに来てくれた母ちゃんは、いつもなら絶対着ないスーツを着て。いつもなら、どんだけ母ちゃんが悪い喧嘩でも絶対下げない頭を深々と下げて。
「ご迷惑をおかけしました」
「だけど、わたしは、涼太が悪いことをしたとは思っておりませんので。では、失礼します」
そう、言った。
.
久しぶりに、2人で並んで帰る道。
学校を出てからずっと無言だったけど、気まずくはなかった。
宮母「涼太ー」
宮「なに?」
宮母「久しぶりに手ぇつなぐかー?」
宮「え?やだよ」
宮母「いーじゃん、だれも見てねぇって!ほら!」
ガシッと捕まれた手。
いやこれ…手を繋ぐってか連行じゃん…
もー…
けど、あたたかい手…安心する…
宮母「どっか痛いか?」
宮「痛くない。俺、怪我してねぇもん」
宮母「さすが、つえぇな!アタシが仕込んだだけの事はある!」
宮「…怒らないの?」
宮母「なんで?」
宮「…母ちゃんとの約束…やぶった…」
再び訪れる、静寂。
はた、と。母ちゃんが立ち止まる。
宮母「なんの約束?」
宮「え?」
宮母「私とのなんの約束破ったの」
宮「いや、あの、手を出すなって言う…」
いやいや、そんなキョトンされても…
宮母「手を…? ………あーーー!!あれか!!!お前は強いって話な!」
宮「そう…ごめん」
宮母「お前はなんも約束破ってねぇじゃん、どれだよ破ったの」
宮「え?」
宮母「お前は、守りたいやつができて、そいつを守ったんだろ?ならいいじゃん」
宮「え…」
予想外の返しに、今度は俺がキョトン。
宮母「アタシ先生に言ってやっただろ、涼太が悪いことしたとは思ってねぇって。聞いてなかったのかよ、かっこよかったぞ?アタシ」
宮「いや、あれ、え?」
宮母「お前は、翔太がヤられてて、守ったんだろ?翔太を守りたいって思ったんだろ?じゃあ間違ってねぇよ」
宮「………」
宮母「涼太に守りたいって思えるやつができて、アタシは嬉しいよ」
にししっと笑う母親は。
すーーげぇ、かっこよかった。
宮母「これから1週間休みなのかよー、羨ましいー!!」
宮「あ、じゃあ、俺が夕飯、作るよ」
宮母「マジ!?ちょーたのしみ!」
…この人が俺の母親でよかった。
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まめ(プロフ) - まみりんさん» 泣かないでー!ジャスティス!!! (2023年3月13日 14時) (レス) id: 5b73301160 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - りんごチョコポップコーンさん» ありがとうございます!ジャスティス!! (2023年3月13日 14時) (レス) id: 5b73301160 (このIDを非表示/違反報告)
まみりん(プロフ) - ジャスティスです!泣きながら読みました。伏線が!楽しみすぎます。尊いっ! (2023年3月13日 13時) (レス) @page17 id: 3f67abdb30 (このIDを非表示/違反報告)
りんごチョコポップコーン(プロフ) - 反応が遅れちまいました!ほんと、素晴らしいです…!ジャスティス!!!!! (2023年3月11日 23時) (レス) @page17 id: 61d7d12311 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - みずきさん» みんなで叫びましょう!ジャスティス!と!!!! (2023年3月10日 20時) (レス) id: 5b73301160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめ | 作成日時:2023年2月26日 20時