蚊帳を張る話 (ページ8)

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○気づいた気持ちページ8

…今思えば、あれはいじめの範疇を越えた、犯罪だったんだと思うけど。
あの頃はとにかく、恥ずかしさが先に立っていて、それどころじゃなかった。

阿「それは…大変だったね…」

渡「俺もなんか…自分が嫌だった。そのころは女の子が好きだったし、男に触られて勃ってんのが意味わかんなくて。今はまぁ…上手に触られたら勃つし。涼太相手なら尚更だし」

阿「ジャスティス。だけどそれ以上はやめよう。このお話はそういう話じゃない」

渡「どういうこと？」

阿「気にしなくていいから続けて」

渡「あ、うん、で…」

.

震える俺に学ランをかけて、上から抱き締めてくれる涼太。
その腕も、震えていた。

宮「……ごめん、翔太……おれのせいだ……」

ちがう、違うよ涼太、お前のせいじゃない。

お前がボコられてるって聞いてノコノコついてった、俺のせいだ。

お前は悪くない。

お前は悪くない。

そう言いたいけど、なぜか声がでなくて。

先生に腕を引っ張られて連れていかれる涼太を、ただみているしか出来なかった。

.

.

先「渡辺、お前は宮舘とあいつらの喧嘩に巻き込まれたんだってな、宮舘から聞いたよ」

そんなことない、俺が巻き込まれに行ったんだ

先「可哀想にな…宮舘もおとなしいと思っていたのに…あんなやつだったとはな…」

ちがう！涼太は俺を守ってくれたんだ！

先「あの動画は消させたから、安心しろ。あいつらも宮舘も１週間の自宅謹慎にしたから、安心して登校してこい、な？」

なんで！涼太はなにも悪くないのに！！

そう言いたいけど。

声が、出なくて。

迎えに来た母親に連れられて、そのまま医者に行ったら、心的なんちゃらっていわれて。

なんだよそれ、なんで涼太は俺を守ってくれたのに、俺は涼太を守れねぇんだよ！って、自分で自分に腹が立って。

初めて、怒りと言う感情で、涙を流した。