蚊帳を張る話 (ページ3)

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●離れたくないページ3

深「…めっちゃ可愛いじゃん」

クラスの展示の撤収作業中。ふっかが突然、「ゆり組の話してよ」って言ってきたから、話していた。もちろん作業の手は止めないけど。

宮「…俺も、離れたくなかったけど」

深「うん」

宮「どうしようもないってのはわかってたからさ。ばいばい、って言わないとやっていけなかったんだよね」

深「そうよねー、わざと切らないとね」

そう。で、その後、すごく親を困らせたな…

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宮「…グスッ…ぅー…グスッ……」

宮母「おい涼太、そろそろ泣き止めよ」

宮「うーーーーー…しょうたぁ……」

宮母「…ったく…メシだけ置いとくからな？今日中にちゃんと食えよ！」

宮「うーーーーーー…っ…」

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ずっと泣いて、泣いて、泣いて。
泣いてもしょうがないってのはわかってるけど、泣いて。
わかってるってのは親もわかってたから、深く慰めることもされず放置されて。

で、折り合いをつけた。子供心に、諦めたんだろうね。

…けど。

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宮「…今日がっこーいかない」

宮母「あ？」

宮「がっこーいっても翔太いないし、つまんない」

宮母「くだらねぇこと言ってんな。ほらランドセル。行ってこい！」

宮「うーーー…」

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翔太がいない小学校はつまらなくて。一週間に一回は行きたくないと言って、親を怒らせた。

日曜日が、楽しみだった。翔太と遊べる日曜日。

だけど、その日曜日も、高学年になればお互いの友人のために使うようになって。会わない日も、増えていった。

中学校でまた一緒になったときは、もうグループができていて。クラスは偶然一緒になったけど、話すことはほとんどなかった。

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渡「っはー！つかれた！」

A「ナベ、今日帰ったらあそぼーぜ！」

渡「わり、今日部活あんだよ！」

B「バスケ部？お前まだ続けてんの？」

渡「結構たのしーの！じゃあな！また誘って！」

A「おー！じゃあな、がんばれよ！」

渡「ありがとう！」

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その声は何故だか耳によく入ってきたけど、それはあいつの声が通るからだと思っていて、とくに理由は考えなかった。