蚊帳を張る話 (ページ18)

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番外編　とある朝の出来事(宮舘side) ページ18

(宮舘side)

大体いつも、俺が先に目が覚める。

そもそも翔太は昼間もいつも眠そうだから、慢性的な睡眠不足なんじゃないかと心配したけれど。本人曰く、「涼太以外に興味ねぇから毎日退屈なんだ」とのこと。
そうは言っても楽しそうにする姿はよくみているから、そんなことは無いんだろうと安心する。

向こうを向いて寝ている翔太の白い首筋にキスを落とし、床に落ちているバスローブを身に纏い、軽くシャワーを浴びて。
着替えてリビングに戻っても、そこには誰もいなくて。耳を澄ませると、時々イビキが聞こえる笑

眠り姫が起きる前に朝食を作ってしまおうとキッチンに立ち、包丁を握る。

食に興味がないあいつは、放っておくとなにも食べないから、俺といるときだけはせめて、栄養のあるものを食べてほしい。
まぁ、俺といないときの方が少ないんだけどね。

朝は特に苦手だから、飲みやすい野菜スープと…薄切りのトーストにベーコンエッグを乗せた、ラピュタで見たあのトーストでいいか。

スープを先に煮込み始めて
トーストはトースターへ
フライパンにはハムエッグ

スープに散らすパセリをみじん切りし始めたとき、ふわ、と後ろから抱き締められる。

渡「………はよ」

宮「あ、起きた。おせぇよ」

渡「今日休みなんだからいいだろ」

宮「まぁいいけど。ほら、座って。もうできる」

渡「ん、さんきゅ」

前に反論してご飯抜きになった経験があるからか、素直に座る笑
ダイニングテーブルに料理を並べて、準備は完了。いただきます、と律儀に手を合わせて、スープをすする。お前はいつも最初はスープだな。

宮「…味、どう？」

渡「ん？まあまあ」

宮「そっか、よかった」

素直じゃない翔太の、これは最大の賛辞。
うわ！とか大袈裟に言うときもあるけど。２人の時は、これがいい。

宮「今日なにする？」

渡「あーーーー…」

宮「どっか行きたいとことかある？」

渡「別に…涼太は？」

宮「俺もないかな…」

渡「じゃあ家にいようぜ」

宮「うん、いいね」

いいね。

家で、いい。

買い物もランチも旅行も楽しいけれど

２人だけの空間が、俺は一番好きなんだ。

翔太が掃除してくれるのを眺めて

昼は俺の作ったご飯をたべて

午後はベッドの海にダイブする。

そこからはもう、甘い世界に旅をして。

今日はこの、8畳の部屋で。

シングルの狭いベッドの上で。

ゆっくり、２人の時間をすごそう。