蚊帳を張る話 (ページ14)

今日:4 hit、昨日:27 hit、合計:24,456 hit

○未来が、決まるページ14

正直俺らは…そんなに頭がいい方じゃなかったから。必死になって勉強して、合格がA判定出るまでがんばった。
頑張って頑張って頑張って、A判定が出た頃にはもう、先生もなにも言わなかった。

だれもなにも言わなかったけど…もしかしたら、俺らの関係性もバレてたのかもしんない。
だとしたら…中学生なんてくっそ多感なころに、スルーしてくれたのなんて、感謝しかない。

受験の日は、涼太の母ちゃんが車で送ってくれた。

宮「ありがと、母ちゃん」

渡「(ありがとう)」

宮母「お礼は合格通知で返せ！行ってこい！」

バシッ！と背中を思い切り叩かれて。

…正直めちゃめちゃ痛かったけど…それで緊張は解れた。
受験の申請も同じタイミングだったし、出席番号も近かったから受験番号も前後だった。もちろん席も前後。

試験官の先生が入ってくる直前。

目を合わせて頷いた。

俺らならできる。

俺らは、来年も、一緒にいられる。

そう信じて、配られた試験用紙をめくった。

.

.

.

合格発表の日。

ネットでも通知はされるんだけど、ママが「貼り出されるのみるやつやりたい」と言って、それに涼太の母ちゃんが乗っかって。母子４人で見に行くことになった。息子の受験をなんだと思っているんだ。

母達は母達で仲がいいから、終始２人でキャッキャしてた。
俺らはまぁ…俺が話せないから静かで、主に涼太が１人で話し続ける状態だったけど、もうそれが普通になっていて、なにも思わなかった。

発表時刻、よくテレビで見るみたいに、受験番号が書かれた紙を先生が持ってきてばばーーーっと貼る姿に、また母達は興奮していた。

俺はもうそれどころじゃなくて。

落ちていたらどうしよう。
いやそれより、一人だけ受かって一人だけ落ちていたらどうしよう。
もう離れたくないのに。

そればかりだった。

宮「翔太、もっとこっちだ」

涼太に手を引かれて、俺らの受験番号がある辺りに向かう。

12238、と、12239
それが、俺たちの番号。

探せ
探せ

たのむ、あってくれ

.

宮「……あ」

渡「(え？)」

宮「翔太…あそこ、みて」

.

指差す先には。

.

:
:
12228
12230
12235
12238
12239
12241
12243
:
:

.

俺らの番号が、あった。