出会いは突然に ページ7
ユキ｢Aー！早くー！！始まっちゃうよ！！｣
｢ちょっと待って！飲み物零れちゃうから！｣
新年度になって新人の子達の指導係になった
今までも何人か新人の指導係になったけど、今度と子達はなかなか手強い…
シャンプー1つまともに出来ないのに、営業後の練習に残業代出ないならやりたくないとか、床はきする為に美容師になったんじゃないとか。
お客様のカット出来るまでに、みんな死ぬ気で頑張ってるの
外から見たらキラキラ輝いてる職業かもしれないけど、実際に蓋を開けたら美容師なんて意外と地味な仕事なんだけどな
1日中立ちっぱなし、手は荒れるしカサカサ
世間の休みが1番の繁忙期だから、友達とも遊べない
流行があるから、常に勉強して練習して
自分の時間なんて、あるようでない
それでもどうして、ここまで頑張れるかって
お仕上げの最後に鏡を見たお客様が、笑顔でありがとうって言って下さるから
その笑顔を見る為だけに美容師をしてると言っても過言ではない
見た目がお洒落だから、カッコイイから、そんな事じゃこの仕事続かない
今年の子達は残っても2人かなー
なんて考えながら歩いてたのがいけなかったのか、ユキちゃんに怒られた
ユキ｢ちょっと！！A！！話聞いてるの？！早く行かないと映画始まっちゃう！｣
｢まだ5分あるから大丈夫だって。あんまり急ぐと危ないよ？｣
今日は色んな雑念を取り払って映画を楽しむぞー！！
ずっと見たかった映画
黄色いタコみたいな超生物が担任の先生で、クラスの生徒達から暗殺されるお話
ユキ｢この山田くんを見る為に今日まで仕事を頑張って来たんだからね！！｣
｢ユキちゃんは本当に山田くん好きだね？｣
映画の主人公役の山田くん
確かに綺麗な顔をしてる
と言うかユキちゃんの好きそうなタイプの顔
甘いマスクの王子様
ユキ｢山田くんは私の王子様なのー！その王子様が主役なんだから、早く行ってちゃんと見る準備しないと！｣
そう言ってユキちゃんはWサイズのポップコーンを持って、席を探した
でもねユキちゃん
私達の席はもっと後ろだよ
そして番号も15.16だよ
ユキちゃんが見てるのはどう見ても4.5番の列だよ
天然って怖いよね
｢ユキちゃん。私達の席たぶんもっと後ろだし、こっちの階段側だと思うよ？｣
ユキ｢もー！それを早く言ってよ！全然席見つからなくて焦ったのに！どれだけ番号探しても4番と５番しかないんだもん！｣
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作者名：白ネコ | 作成日時：2019年11月20日 17時
