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篠田くんが戻るとすぐさま潤くんのタイム測定を始める声が聞こえた。
私はその声を聞きながら、割れたカップの破片を箒で集める。
よし。これで大丈夫かな？
切った指はとりあえず水で流したら、そんなに血も出てなかったからそのままにしておいた。
今まので経験上、絆創膏を貼るより乾燥させた方が早く治る…気がする。
あくまでも私の経験上だけどね！！
さて、片付けも終わったし和くんも待ってるから早く行こう。
「それじゃぁ、お先に失礼しまーす！お疲れ様でした！」
スタッフルームから荷物を取ってお店を出るときに声を掛けると、みんなレッスン中…しかもタイム測定してるのにそれぞれ「お疲れ様でしたでした！」って返してくれる。
うん。何だか嬉しいよね。挨拶は基本だけど…基本だからこそ蔑ろにしがち。でもみんなはちゃんと返してくれる。
心がポカポカするなぁ…なんて思いながら和くんの待つ駐車場へ急ぐ。
あ、いた。車に凭れてタバコ吸ってる。
「和くん、お待たせ！」
和「結構早かったね」
私に気づいた和くんは携帯灰皿にタバコを押し付けて、最後の白煙を吐いた。
和「じゃぁ帰ろっか」
「お願いします！」
和「A」
「？」
和「その指どうした」
「え？あ、これ？さっきコップ落として割っちゃって、片付けるときに切ったっみたい」
さっきはあんまり血が出てなかったんだけどなぁって言ってる最中に和くんが私の手首を掴んで、まさかの人差し指を舐めた。
舐めたと言うか口に含んだと言うか…口に含んで舐めたと言うか。
この場合はどの表現が正解？
なんてたぶん私は動揺してるんだと思う
「和くん？！え？……え？！」
和くんは「何焦ってんの」って目をして、最後にチュッってリップ音をさせて口から指を離した。
和「絆創膏貼っときなよ。結構切れてるから、まだ血出てくるよソレ」
「あ、うん…。貼っとく…」
そう言うと和くんは車のロックを解除して、運転席に乗り込んだ。
私もそれに倣って、助手席に座った。
え？なんで舐めた？あれかな？男の人は切れた指は舐めて治すのかな？？
でも切ったのは私だよ？あ、そうゆうこと？…いや、どうゆうこと？！わかんないわ！！
もういいや考えるのやめよ…
とりあえず和くんの車に血をつけるわけにもいかないから、絆創膏だけ貼っとこ…
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作者名：白ネコ | 作成日時：2019年11月20日 17時
