はじめまして ページ1
クリスマスまではあと少し
街は色づき始め、道行く人も心做しかソワソワしている
｢サンタさん来るかなー？｣
すれ違う家族連れの子供が無邪気に母親へ言う
｢あら？今年はいい子にしてたのかしら？｣
｢すっごいいい子だったよー！！！｣
なんて微笑ましい会話を聞きながら、来るはずのない人を待つなんて……
ん？誰を待つの？あれ？
｢なんかモヤモヤする……｣
誰に言うワケでもなく白い息を吐きながら、家路に付こうと足を速めた
その時
ザワッ
｢っ？！｣
目の前の人から目が離せなくなった
誰？知らない人。知らない？本当に？
あの人は知らない人？あんなにも艶やかな瞳を向けているのに？
栗色のビー玉みたいな目が懐かしい。
懐かしい？なんで？初めて会ったのに？
目を逸らさずに1歩、また1歩と近づいてくる
怪しい人？懐かしい。
理性が逃げろと言ってる。本能では……？
あの目で見つめられたら逃げられない
いつもそうだった
いつも？いつの事？
あの時もそうだった。結局私は……
｢A。｣
懐かしい声、大好きな声、愛しい声
え？どうして？
分からない
自分が分からない
貴方は誰なの。私の何なの。どうゆう関係なの
｢初めまして、A。君に会うのは今日が初めてだけど。ずっとずっと好きでした。｣
そんな悲しい目をしないで。
そんな愛おしい目で見ないで。
そんな暖かい声で呼ばないで。
凍っていた心が溶かされるから
｢なーに泣いてんのよ。ブスになるよー｣
くふふって笑いながら頭をポンポンって。
いつもみたいに。
そう……1番最初の出会った記憶の頃みたいに
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作者名：白ネコ | 作成日時：2019年11月20日 17時
