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Aが姿を消した後、千冬と会う機会があった
お互いに持っている東卍の情報交換のためだ
その時偶然、Aが東卍に囚われていることを聞いた
記憶媒体と言われ、少し思い当たることがあった
Aの記憶力は人並みはずれている
自分が見たもの聞いたものは、詳細に覚えている
そして、Aが千冬のマンションにいることも聞いた
千冬に対してどうしようもない怒りと嫉妬心に駆られた
千冬自身が悪いわけではないのはわかっている
タケミチの指示で、自分のマンションに住まわせているという説明
でも、連れ去り、自由を奪っていることに変わりはない
当然、Aを解放しろと言った
それに対して千冬は、自分の判断ではできない
解放しても、すぐに東卍は血眼になってまたAを連れ戻す
そう言った
さすがに東卍相手だと、俺も迂闊には手を出さない…
そして1年が経った頃
千冬からの突然の呼び出しがあった
セキュリティもプライバシーも完璧な店に呼び出された
当然、通された部屋は個室
一体、どんなヤバい話なんだろうか
そう構えていた
先に口を開いたのは千冬だった
千冬
「一虎くん…
Aを…、頼みます」
一虎
「…なんだよ
ようやく解放する気になったか
遅せーよ、1年も自由を奪っておいて…ーー」
千冬
「A、妊娠してんだ…」
急に、何を言い出すかと思った
やめろ、そんな冗談…
一虎
「…あ?
テメェ、何言ってんだ
くだらねぇ冗談言って…ーー」
千冬
「冗談じゃねぇ
俺の子が、お腹にいる」
それを聞いた瞬間、気付いたら千冬の胸ぐらを掴んでいた
一虎
「っざけんな!
お前、言ったよな!?
Aはただマンションに住まわせてるだけだって
そうゆう関係じゃねぇって言っただろ!
自由を奪って、犯罪の片棒担がせて、妊娠させて、それで捨てんのか!?
あいつを物みたいに扱いやがって!」
千冬
「…Aのこと、手放せねぇくらい愛してる
でもこの先、東卍にいたら、稀咲に何されるかわかんねぇ
日影にいる生活を、子どもにはさせたくねぇんだ…
どうしたらいいか悩んで、考えた…
Aを、東卍から解放したい
だから、一虎くんに協力してほしい」
ガツンっ、と千冬の左頬に一発拳を入れてしまった
その勢いで後ろに倒れ込んだ千冬
千冬
「…ッ…
俺にはこれしかAたちを守る方法が思い付かねぇんだ。」
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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年12月5日 18時