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それから、2日ほど、部屋に引きこもった

千冬が下した決断が悲しすぎて、到底受け入れられない

一緒に育てたいという、当たり前のことを望んでるだけ

東卍にいる限り、そんな当たり前なことすら、望んではいけないのか…

今日何度目になるかわからない、ドアがノックされた

そして、千冬が入ってきた

さっきまではノックだけで、部屋には入らなかったのに…

ベッドで横になっている私のそばに、腰掛ける千冬

千冬
「…俺、勝手なことばっかだな…
 でも、何が1番大事で守りたいかって考えた時、答えが一つしかなかった
 お前と、お腹の子が1番大事で守りてぇんだ」

A
「私は千冬といたい」

千冬
「…俺も、場地さんの仇取ったら東卍をでる
 だから、先に行っててほしい
 でも、一人で逃げるのは無理だから…
 だから、一虎くんを頼ってくれ
 …あまり時間がないんだ…」

嘘つき…

本気で東卍から出る気なんてないくせに…

あなたは、自分を犠牲にしても、私を守ろうとしてくれている

私のこと、心配してくれるのはわかるけど…

そばにいてほしいのは、あなただけなのに…

A
「ねぇ、もしも、の話していい?
 もし東卍で出会わなかったら、どうなってたかな…」

そう聞くと、千冬は少し悩んでこう言った

千冬
「…今みたいにどっかのペットショップで、偶然出会ったりして…
 Aがいて、こどもがいて…
 あと、猫飼いてぇな…、黒猫がいい
 都心から少し離れてても一軒家で…
 一虎くんが、遊びに来てくれて
 おれらの代わりに子供のめんどう見てくれたりして…
 気が付いたら、鬱陶しいくらい頻繁に遊びに来たりすんだ…
 …どう?」

A
「…うん、楽しそう…
 …そんな、普通の生活、したい…」

千冬は答えてくれなかった

彼の心はもう決まっているんだ、と…

この先、一緒に歩いていく未来はないのだ、と…

千冬
「…一虎くんなら、お前たちのこと、幸せにできると思う」
 
もっと他に方法はないのか…

悩んでも考えても、わからない…

その日、彼の思いに応えるように、私は婚姻届を書いた

わたしたちを守りたいという千冬の思いに応えるために…

彼は、万が一の時は自らを犠牲にする覚悟もしているのだと…

悲しいけど、そう気付いてしまった

私が婚姻届を書いた後、千冬は証人欄に名前を書いた

『俺が生きた証を守ってほしい』

そう言う彼の瞳は、父親の眼差しをしていた

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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年12月5日 18時

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