内緒話 〜俺の弟分〜 ページ48
生まれたばっかの頃から見てきた、千冬とAの息子
冬真はあっという間にデカくなって、もう9歳
ついこの前まで、片手でおさまるくらい小さくて、抱っこしてたのに…
俺のこと、前はトラと呼んでいたのに、今では一虎と呼び捨てにされる
生意気なやつだ
でも、かわいいとこもある
俺が遊びに行けば、嬉しそうに玄関まで迎えに来る
腕を引っ張って子供部屋に連れてかれ、飽きるまで一緒にテレビゲームをする
俺のこと、服とかバイクとか、いろいろカッコいいとか言ってくれる
時々、冬真をケッチの後ろに乗せてツーリングするのも楽しい
Aには、冬真に甘いといつも怒られるが…
冬真に、Aのことが好きなのか、と聞かれた
答えなきゃダメか?それ…
昔は、Aの幸せだけを願ってた
でも、今は違う
3人の幸せを、心から願える
千冬の隣にいる、A
冬真を叱るA
変わらずトラくんと呼んでくれるA
なんだ、俺…
いまだにAのこと…
気付けば30年、ずっと、お前だけだ…
冬真
「一虎?
おーい、一虎、聞いてんの?」
一虎
「ぁ、悪い…
聞いてなかった」
冬真
「ちゃんと聞いてろよー」
…ほんと、生意気だな、お前…
誰に似たんだ?
いや、千冬しかいねぇよな…
一虎
「悪かったよ
で、なんて言った?」
冬真
「だーかーらー!
今度、ケッチで学校まで迎えきてよ!
友達に自慢してぇんだ!」
一虎
「自慢?
なにを?」
冬真
「俺のダチ、カッケーだろ!って!」
ニシッ、と白い歯を見せて笑う冬真
こうゆうド直球なとこも、千冬に似てんだろうな…
むしろ、Aの遺伝子はどこにいったんだ、ってくらいだ
一虎
「俺はいいけど、Aがいいって言ったらな
学校にケッチで迎え行くなんて言ったら…ー」
一虎・冬真
「「トラくんは冬真に甘い!」」
ぁ、冬真と声が揃った…
一虎
「…わかってんじゃん」
冬真
「わかってるけど、一虎から言ってよ」
そんな話をしてると、玄関のドアが開く音がした
千冬とAが帰ってきた
子供部屋のドアが開くと、Aが顔を出した
A
「お留守番ありがとう」
一虎
「なぁ、A
今度、ケッチで冬真の迎え行ってもいいか?」
一瞬、きょとんとしたA
でもすぐにこう言った
A
「ダメに決まってるでしょ!
トラくんは冬真に甘い!」
俺は冬真と顔を見合わせて思わず笑った
一虎・冬真
「「予想通り!」」
松野冬真
俺のかわいい弟分
80人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神奈月 | 作成日時:2022年12月5日 18時