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千冬とマンションを出て、2人で並んで歩く
ケーキ屋さんまでの短い道のり
少し後ろには、相変わらずの警護担当の警察官がいる
もう、この感じに慣れてしまった…
A
「冬真となに話したの？」
千冬
「んー、いろいろ」
A
「教えてくれないんだ？」
千冬
「男同士、いろいろあんだよ」
穏やかなその表情は、父親そのものだ
2人でこうして歩くのも、久しぶり…
冬真が生まれてからは、いつも３人だった
でも、今日、冬真はお留守番
こうして、少しずつ、親離れしていくのかな…
少し寂しい気持ちにもなる
いつもは冬真と繋いでいた手
久しぶりに、千冬と繋いでみる
一瞬、驚いた顔をした千冬
そうだよね
こんな風に手を繋ぐの、いつぶりだろう…
指を絡めると、ぎゅっ、と返してくれる
A
「…幸せだなぁ…」
千冬
「なんだよ、急に」
A
「こんな普通の日常が、幸せだって思えるの…
明日も、明後日も、1年後も、10年後も…」
千冬
「…だな…
でも俺は…」
少し、言い淀んだ千冬
でも、意を決したように言った
千冬
「朝、目が覚めたら、世界が変わってたらなって思う時ある
その世界には、お前も冬真も当然いて…
一虎くんも場地さんもいてさ…
タケミっちもマイキーくんも、みんなが笑ってる
そんな世界だったらな、って…
俺、欲張りかな…」
そぅなんだ…
千冬はずっと、そんな世界を望んでいたんだ…
初めて知った…
A
「欲張りなんかじゃない
誰だって、みんな…
千冬みたいに思ってるよ
大切な人たちがいて、笑ってる…
当たり前だけど、それって、すごく奇跡に近いと思う
千冬の気持ち、わかるよ」
サンキュ、と彼は小さく言った
千冬
「早くケーキ買って帰ろう
冬真が待ってる」
A
「トラくんもね」
千冬
「あの人、気付いたら家族みたいに頻繁にうちにいるよな」
自分の部屋にいる時間よりうちにいる時間のが長いんじゃねぇか？
なんて、千冬は言っている
そんなこと言っても、なんだかんだでトラくんのこと信頼してるし、好きなくせに…
千冬・一虎・A
「「「冬真、誕生日おめでとう」」」
家に戻って、盛大に冬真のお誕生日会
こんな何気ない毎日が幸せで愛おしい
あの日、あなたに偶然出会った瞬間から
この未来は必然だった
どんな困難も乗り越えて
一緒に歩いて行く
たとえ世界が変わっても
何度も出会って
恋をして
幸せな未来を手繰り寄せる
〜fin??〜
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作者名：神奈月 | 作成日時：2022年12月5日 18時
