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冬真のベッドに、2人で並んで腰掛けた
千冬
「冬真、なんで話しようって言ったか、わかるか？」
冬真
「…クラスの奴に掴み掛かったから…
でも俺、殴ってねぇよ！
あいつが急に…」
千冬
「…なんかあったのか？」
冬真
「親が経営者だからって調子乗るなって…
別に調子乗ってねぇのに…」
膝の上で拳を使って、ゆっくりと冬真はそう話してくれた
冬真
「…父さんが経営者だからって、俺、調子乗ってねぇよ…」
千冬
「でもな、冬真
お前が言った何気ない一言で、友達は嫌な気分になったかもしれねぇ
新しいゲーム買ってもらった、とか、旅行行った、とか」
冬真
「そんなん…、普通だろ」
千冬
「そうゆうのが普通じゃない家庭もあるんだ
今のお前には、少し難しいかもしれねぇけど
お前の思ってる当たり前は、他の人から見たら当たり前じゃないかもしれねぇんだ
友達は、そう思ったかもな…」
冬真
「…そぅ、かな…」
千冬
「俺はその友達本人じゃねぇから、本当はどう思ったかわかんねぇ
だから明日、また話してこいよ
話す、って大事だ
掴みかかったり殴ったりするより、難しいけどな
お前なら、ちゃんと真正面からぶつかれるって思う
で、必要ならちゃんと謝ってこい
できるか？」
冬真
「…わかった
明日、話してみる」
千冬
「えらいぞ、冬真！
がんばれ！」
冬真の頭をガシガシなでると、やめろよー、と大騒ぎ
冬真
「一虎、助けに来いよー！」
と叫ぶ冬真
すると、リビングからは、今Aの手伝い中だから無理ー、と返事が聞こえてきた
千冬
「残念、一虎くん、助けに来てくれなかったな」
さらに頭をガシガシ撫でると、薄情なやつだ、と呟いた
どこでそんな言葉を覚えてきたんだ…？
俺は父親を写真でしか知らない
でも、母から聞いた話だと、カッケー人だと思っている
俺は、俺なりにどんな父親でいるべきか、毎日試行錯誤
できるだけ、冬真の話に耳を傾けてやろうと思ってる
言いたいこと言えなくて、自分を認めてくれる人がいねぇと…
昔の俺みたいに、相手を選ばずケンカの毎日になっちまうと思う
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作者名：神奈月 | 作成日時：2022年12月5日 18時
