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一虎
「前会ってから1週間しか経ってねえのに、またでかくなった?
今日持ってきた服、着れっかな?」
ガサガサと持っていた袋を開けて、どうだ、と言わんばかりに俺にそのベビー服を見せつけてきた
千冬
「…ヒョウ柄…?
いや、トラ柄…?」
ベビー服にはなさそうな、派手なデザイン
…どうやって入手したんだ…?
一虎
「三ツ谷に言って特別に使ってもらったんだぜ
いい柄だろ?」
千冬
「完全に一虎くんの好みじゃないですか…」
一虎
「そのうちお揃いのピアス用意してやるよ
刺青はまだ早いな…」
千冬
「いや、どっちもダメっす」
一虎
「お前だって、中学の時にはピアスしてただろ?
で、子供にはダメって言うわけ?」
千冬
「ダメなもんはダメっす」
厳しいなぁー、なんて一虎くんは言いながら、俺から冬真を取り上げてあやし始めた
頻繁に来るからか、抱っこもあやし方も慣れている…
A
「トラくん、忙しいのに来てくれたんだ
ぁ、なんか可愛い服持ってる」
…あのトラ柄、可愛いか…?
一虎
「千冬、明日出張だろ?
俺、仕事終わったらここ来るから安心しろよ
日中はいてやれねぇけどよ…
冬真とはもっと仲良くなりてぇし」
千冬
「…わかりました
空いてる部屋、いつも通り使えるようにしてあるんで」
一虎
「サンキュー」
空いてる部屋にベッドを置き、ゲストルームのようにしてある
最近はこうして一虎くんが来てくれるから、一虎くんが使うことが多い
時々、俺やAの母親が孫に会いたくて来ているから、その時に泊まっていくこともある
なんせ、やはり育児は一人じゃ大変だからな…
こうしていろんな人に支えられて、親も子供少しずつ成長して行くんだな…
千冬
「…一虎くん
俺がいないからって、Aに変なことしないでくださいよ」
一虎
「ばーか、何言ってんだよ
んなことするわけねぇだろ
俺は今、Aより冬真のがかわいい」
…そうっすか…
それなら、まぁいいか…
ってか、冬真にデレデレだな、一虎くん…
A
「トラくん、もう少しで夕飯の支度するから、食べて行くよね?」
一虎
「おぅ、もちろん」
千冬
「一虎くん、そろそろ冬真、返してください」
一虎
「もうちょっと、抱っこさせろよー
お前は毎日帰ってきたらAも冬真にも会えるんだからさ」
…そう言われてしまうと…
冬真を抱っこする一虎くんは優しい顔をする
これがこの人の本当の表情だ
みんなが、幸せな世界…なはず…
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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年12月5日 18時