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なにが起きたんだ?

Aに名前を呼ばれて振り返ると、Aが倒れ込んできた

その背後にいる見知らぬ男は、手に血のついたナイフを持っている

俺の右手は、Aの血であっという間に染まっていた

刺されたのか…?

男は、俺を狙っていた…?

Aは、俺を庇ったのか…?

直人の、男を取り押さえろ!と叫ぶ声

大寿くんの、救急車を呼べ!と怒鳴る声

千冬
「A、お前、なんで俺を庇って…」

A
「もう、千冬のこと、失いたくない…
 あなたがいない世界は…寂しかった」

千冬
「なに、言ってんだ…?」

俺がいない世界…

もしかして、別の世界線の記憶のことか…?

A
「今度は、ちゃんと、生きて…
 幸せ、に…
 あなたには…、笑ってて、ほしい…」

千冬
「今度は、って、なんだよ…」

段々と、Aの体から力が抜けていくのがわかる

呼吸も苦しそうで…

千冬
「俺、お前のこと助けたくて来たのに…
 なんも、出来なかった…
 大寿くんと直人に任せっぱなしで…
 俺が、お前のこと、守らなきゃいけないのに…」

一虎
「千冬、落ち着けよ」

千冬
「かっ、一虎くん…
 いつの間に…」

顔を上げると、真っ青な顔をした一虎くんがいた

多分、今の状況を理解してくれているんだろう…

一虎
「今、来たばっか…
 とにかく、落ち着け…
 大丈夫だ…
 俺が、傷口押さえてるから
 ちゃんと、声かけてやれ
 お前にしか、出来ねぇことあるだろ」

千冬
「俺にしか、できねぇこと…」

Aを、繋ぎ止めておくこと…

力なくだらっとしたAの手を握ると、弱々しく握り返してくれる

千冬
「A、大丈夫だ…
 もう少し、がんばれよ」

そう言うと、小さく頷いた

千冬
「なぁ、前に話したよな、夢の話…
 お前がいて、子供がいたら、楽しいだろうな、って…」
 
A
「…ぅん…」

千冬
「結婚式まで籍入れるの待つつもりだったけど…
 すぐにでも籍入れよう…
 松野A…、すぐには呼び慣れねぇかな…」

さっきよりも、頷きが小さい…

A
「ち、ふゆ…
 稀咲から守ってくれて、ありがとう…」

この世界線で、稀咲は中学の時に事故に遭っている

Aが知っているはずがない…

千冬
「別の世界線に囚われるな…
 しっかりしろよ…!!」

救急車の音が近付いてきた

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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年12月5日 18時

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