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響く銃声

柴社長は私を抱えるように覆い被さっている

耳を塞いでも、銃声がずっと響いているような感覚に陥る

こうゆう銃声、前にもどこかで、聞いたことが…

直人
「Aさん、柴さん、大丈夫ですか!?」

大寿
「こっちは無事だ
 そいつら、しっかり押さえておけ」

柴社長に抱き起こされたけど、未だに事態が掴めない

わかるのは、三途の部下2人がたくさんの警察官に囲まれて取り押さえられているということ

A
「…あなたは…?」

直人
「橘直人といいます
 橘日向の弟です」

A
「…ヒナちゃんの、弟…?
 …前にも、どこかで会ったことあるような…」

私がそう言うと、彼は少し驚いたような顔をした

でもすぐに穏やかな表情になった

直人
「『初めまして』、です
 それより、怪我はないですか?」

A
「はい、私は大丈夫です」

そう言いながら社長を見ると、左腕から血を流していた

A
「その怪我…、もしかして、今…」

大寿
「かすり傷だ、このくらい」

そう言って、落ちていたスマホを拾い上げて耳に当てた

大寿
「松野、心配するな
 こっちは大丈夫だ
 橘の計画通り、いいタイミングの連絡だった」

そして再びスマホを私に差し出した

A
「…ち、ふゆ…?」

千冬
『A、大丈夫か?
 怪我してねぇ?』

A
「うん、大丈夫」

千冬
『今、外で待ってるから…』

A
「…うん…」

そう答えて、スマホを社長に返す

直人
「Aさん、無事で良かったです
 ひとまず、ここから出ましょう」

立ち上がると、社長のお店は悲惨な状態になっていた

申し訳なさでいっぱいだ…









お店を出ると、何台ものパトカーがずらっと並んでいた

千冬
「A!!」

A
「千冬…」

ぎゅーっとキツく抱きしめられた

久しぶりの、千冬の温もり

もう、会えないかもしれないって覚悟した日もあった

でも今、目の前に千冬がいる…

A
「千冬、来てくれたの…?」

千冬
「当たり前だろ
 悪かった…、俺、なんもできなくて…
 全部大寿くんに任せちまって…」

A
「でも、ここまで来てくれた…
 それだけで、十分…」

千冬
「大寿くん、本当にありがとう」

A
「社長…
 私のSOSに気付いて、彼に伝えてくれて、本当にありがとうございます
 お店、私のせいであんな状態になってしまって…」

大寿
「気にするな
 惚れた女のためなら、どうってことない」

千冬
「ッ!?」

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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年12月5日 18時

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