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A
「…万次郎が心配してくれる気持ちは嬉しい…
でも、私は千冬と生きていくって決めた…」
万次郎
「千冬にお前は守れない
お前は自分の置かれてる状況をわかってない
ここにいれば俺がお前を守ってやれる
外に出たら、お前は他の犯罪組織に狙われる
他の組織は、命の保証すらねぇぞ」
A
「…それが私の運命なら、抗ってみせる」
まっすぐに俺を見る目は、在りし日の場地を思わせた
お前もそうして、場地みてぇに、自分を犠牲にするのか…？
そうならねぇように、ここにいろって言ってんのに…
Aは静かに俺に近付いてきて、俺の手を取った
その手の温かさに、一瞬、ガキの頃の楽しかった、東卍でがむしゃらに走り続けた記憶が蘇ってきた
でもきっとすぐに、その記憶も思いも、黒い衝動に飲まれるだろうけど…
A
「…あの時、もっとあなたと向き合うべきだった…
あの頃は私、まだ子供で、そこまで考えられなかった
せっかく好きになってくれたのに、何も返せなかった…」
万次郎
「…お前が謝ることじゃねぇよ…」
A
「どうして万次郎が梵天を立ち上げたのかはわからない…
でも、それはあなたに必要なものだったんでしょ…？
だから、あなたのこと、否定はしない
でもいつか…
万次郎とも笑っていろんなこと話せるようになったらいいなって、思ってる…」
万次郎
「お前、なんで…」
なんで、俺が欲しかった言葉をくれるんだ…
誰にも理解されないし、してもらおうとも思わなかったのに…
そうか…
お前はそうやって人の心を察し、理解し、相手がほしい言葉を選んでいる
だから、老若男女問わず、いろんな奴がお前に囚われる
俺も、場地も、一虎も、千冬も…
今の俺に、お前は眩しすぎる…
自室に戻ったAと入れ替わるように、三途が戻ってきた
三途
「マイキー…
あの女の本来の利用価値はその記憶力だろ…
なんで本来の利用目的として使わねぇんだ…」
そうだ…
表向きはそう言って、Aを監視し、ここに連れてきたけど…
場地との約束か、俺のAへの未練か…
わかんねぇ…
でも一つだけわかるのは、お前には笑っててほしい…
万次郎
「Aが柴大寿と接触する日…
今回も幹部は同行させるなよ、大寿に顔が割れてるからな」
三途
「…りょーかい」
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作者名：神奈月 | 作成日時：2022年12月5日 18時
