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慌てて支度を整えた
そしてきっちり5分後に先ほどの男が部屋に入ってきた
行くぞ、と言われて私は着いていくしかできなかった
マンション地下の駐車場に停められて、黒塗りの車
男は後部座席のドアを開け、乗るように促された
そして彼も私の隣に乗り込んだ
1週間ぶりの外
車内から見える空は、まぶしいくらいの夕焼けをしていた
着いた先は都内の高級ホテル
そのホテル内にあるヘアサロンに通された
そして1人の女性店員が出てきた
「灰谷様、お待ちしておりました」
蘭
「あぁ、悪りぃけど急ぎだ
ヘアセットとメイクを頼む」
「かしこまりました
では、A様、どうぞこちらへ」
灰谷と呼ばれた男に、トンっと軽く背中を押された
行け、という意味らしい
言われるがまま、私はセットとメイクを施された
プロの手にかかり、あっという間に別人のようになった
そんな私を見て、灰谷はなんだか満足そうな顔をしていた
ヘアサロンを出たところで灰谷が言った
蘭
「梵天の幹部会だ
首領も来るから、粗相がないように」
A
「どうして、こんなに着飾らせて…
そうゆう場に私を…」
蘭
「首領の命令だからな
理由は知らねぇよ」
そう言いながら、彼は私の腰に手を回した
ぞくっ、と背筋に嫌な感じがした
気持ち悪い
千冬以外の人に触られるなんて、嫌
A
「っ、触らないで!」
思わず、男の手を払い退けた
すると、彼は一瞬驚いた顔をし、すぐに余裕の笑みを浮かべた
蘭
「おー、怖っ
まるで毛を逆立てて威嚇する猫だな
でも、こーゆーとこで女性がいたらエスコートは当然だろ?」
なんだか女性を扱い慣れてるような言い方に、更に腹が立つ
私の苛立ちに気付いたのか、両手を上げて降参のポーズをした
蘭
「わかったよ、降参
触らねぇから、そんな怒るな
あんまり機嫌損ねた状態で首領に会われて、首領にバレたら面倒だからな」
着いてこい、とだけ言って、私は再び彼の後ろを歩くことになった
案内されたのはホテル内のレストラン
一般人には縁がないようなところだ
個室になっていて、すでに男が数人来ていた
スーツを着こなしているが、ただのビジネスマンには見えない
案内された席に座ると、同じタイミングで男が部屋に入ってきた
マイキーだ
それから、ピンク色の長髪の男が後について入ってきた
一般社会とは違う、異様な雰囲気が漂っていた
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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年12月5日 18時