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場地の命日
なんとなく、Aと墓参りに一緒に行くのは気が引けた
時間をずらして墓参りして、少しバイクを走らせた
夕飯、支度して待ってるかな…
今のこの生活を始めて、Aのことを好きだと再認識した
大事にしたい
Aが今の記憶のままで幸せなら、それでいい
Aの部屋に入ると、電気がついていない
まだ帰ってないのか…？
そう思いながらリビングに入ると、満月を見上げるAがいた
Aが俺に気付いて、視線が合う
その瞬間に、このかりそめの関係が終わるのだと感じた
A
「一虎…
私は、何か大切なことを忘れてる気がするの…
頭の中にモヤがかかってて、ずっと、すっきりしない…」
一虎
「…なんだよ急に
疲れてるだけじゃねぇの…？」
A
「もうごまかさないで…
一虎、何か知ってるんでしょ？
私、わからないことが多すぎるの…」
一虎
「なんだよ、わからないことって…」
そう言う自分の唇が微かに震えたのがわかった
真実を話さなくちゃならないのか、という恐怖
A
「…千冬…」
一虎
「…あいつが、どうした…？」
A
「どうして、お弁当箱が２つあったの？
普段から使う物なはずなのに、隠すように食器棚に入ってた…
つけてないネックレスを外そうとする動作
あまりに自然すぎて、いつも身につけていたものがないような感じだった
千冬の飼い猫がつけてた首輪に見覚えがある
千冬のバイクに乗った時に懐かしい感じがした
千冬の笑った顔が、前にも見たことがある気がして…
あの人は…なんでこんなに、私の心を乱すの…？」
一虎
「…気のせい、だろ…」
他に思いつく言葉がなかった
Aは俺に近付くと静かに俺の背中に腕を回した
まるで俺の心音を聞いてるみたいに、顔を埋める
それに応えるように、Aをそっと抱き寄せる
このままがずっと続けばいいのにな…
Aは顔を上げると、ゆっくり俺の顔に近付いてくる
あと数センチ、吐息のかかる距離で俺は動きを止めた
A
「…どうして…？」
少し潤んだ目で見上げてくる
一虎
「ごめん…」
背中に回されたAの手に少し力が入って、ぎゅっと俺の服を掴んだ
こつんと額をくっつけると、Aは少し俯いた
一虎
「忘れてる今の方が幸せかもしれねぇ
でも、お前は今、苦しんでる
俺はただお前を見守るしかできねぇ…
だから…
帰れよ、千冬のとこに」
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神奈月(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。お話は佳境ですが、みなさんに楽しんでもらえるようにがんばります。 (2022年11月27日 7時) (
レス) id: d80d51a44f (このIDを非表示/違反報告)
あい - いつも更新を楽しみにしています。千冬と一虎、これからヒロインとどんな結末が待ってるのかとても楽しみです (2022年11月26日 16時) (レス) @page39 id: c280eab537 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神奈月 | 作成日時：2022年11月1日 13時
