26 ページ26
Aが店を飛び出て、何事かと理解するまでに少し時間がかかった
慌てて追ったものの、すでにAの姿はなかった
電話にでねぇし、家に帰ってもいねぇ、いつものBARにもいねぇ
かれこれ3時間、家に戻ったり街中に行ったりを繰り返した
そんな中、スマホが鳴り、一虎くんからのメッセージを受信した
一虎
『A、発見
帰るように説得するから、家で待ってろ』
すぐに、どこにいるのか、と送ったが既読にならず返信もない
一虎くんを信じて待つしか出来なかった
30分くらいして、またスマホが鳴った
一虎
『今、帰るって店出た
ちゃんと話聞いてやれ
次はねぇからな』
それを見て、居ても立っても居られず、エントランスまで急いだ
迎えに行きたい気持ちを抑えてエントランスで待つ
しばらくすると、一台のタクシーが停まった
千冬
「A…」
A
「…ち、ふゆ…」
俺を見ると申し訳なさそうに、Aは俯いた
千冬
「…とりあえず、家入ろう」
Aは黙ってついてきた
ソファに並んで座るが、いつもより少し距離がある
どう切り出すか…
千冬
「…すげー探した
急に店から出てって、連絡もとれねぇし…」
俯いたままAは答えない
いつもより甘い香りがするのは、だいぶ酒を飲んできたからか…
千冬
「わかんねぇよ、言わねぇと…」
A
「…だって、千冬が…」
Aは大粒の涙を流し始めた
千冬
「ぇ、ちょ、A!?
俺、なんかしたか!?」
A
「…今日、一緒にいた人、誰…?
この前、仕事中に一緒に歩いてるの、偶然見かけて…」
千冬
「今日って…、柚葉ちゃんのことか…?」
この前一緒に、ってそんなことあったか…?
記憶にない、と思った瞬間、思い出した
千冬
「あれはっ、違うんだっ!
いや、違うというか、確かに一緒にいたけどよ」
A
「なんで、仕事中に一緒に…?
なんで今日、その人が、いたの…?」
千冬
「柚葉ちゃんは三ツ谷くんと幼馴染で、お前のドレス仕立てるの手伝ってくれてんだよ
海外にいることが多いけどちょうど日本にいるタイミングで…
三ツ谷くんに、俺のタキシードの採寸で急に呼び出されたのがその日で、そん時にその話聞いて…
お礼したくて、ちょっと飯行ったんだ…
ドレス出来たら、試着のときにお前の着付け手伝ってくれるって…
で、その着付けの時に初めましてってのも難だから一度会った方がいいと思って…
黙ってて悪かった…」
95人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神奈月(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。お話は佳境ですが、みなさんに楽しんでもらえるようにがんばります。 (2022年11月27日 7時) (レス) id: d80d51a44f (このIDを非表示/違反報告)
あい - いつも更新を楽しみにしています。千冬と一虎、これからヒロインとどんな結末が待ってるのかとても楽しみです (2022年11月26日 16時) (レス) @page39 id: c280eab537 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神奈月 | 作成日時:2022年11月1日 13時