諦めるけど、愛してる ページ19
千冬から、Aが記憶を取り戻したこと
結婚することを聞いた
おめでと、と言ったけど、少し複雑な気持ちもあった
そんな報告を聞いてから、しばらくたった頃
千冬から、Aが会って話したい、と言ってることを聞いた
どんな顔して会っていいかわからず、会うのを保留にしていた
仕事が終わって、マンションに着くと、エントランスにAがいた
A
「おかえり
やっと帰ってきた」
一虎
「…待ってたのか？」
A
「うん
なかなか都合つけてもらえなかったから…」
一虎
「…悪りぃ…
お前、ここに来ること千冬は知ってんのか？」
A
「ちゃんと言ってある
だから、少し時間ちょうだい
帰ってきたってことは、この後用事ないでしょ
最近、この近くにいいお店見つけたの
ちょっと、付き合って」
そう言うと、Aは歩き出した
…Aって、こんなに強引だったっか…？
徒歩数分のとこにある落ち着いた店
バーカウンターにAは座った
その隣に俺も座る
一虎
「お前と千冬が行きつけのBARってここ？」
A
「うぅん
ここは本当に最近来始めたの
仕事関係の人に教えてもらったんだ」
仕事帰りでスーツ姿だから、いつもと雰囲気が違う
Aの左手の薬指には指輪
いわゆるエンゲージリングだろうけど、普段使いしやすいように爪は立っていないタイプのようだ
一虎
「…結婚、決めたんだろ？
…おめでと」
A
「…うん、ありがと…」
一虎
「…千冬、本当にいい奴だから…」
A
「…うん、千冬は、優しい
でも、同じくらい、トラくんも優しい
トラくんが近くにいてくれて、よかった
壊れかけてた私の心を、守ってくれてありがとう」
一虎
「…ぇ…」
ありがとう、って言ったのか…？
俺、ようやくお前が手に入るかもって思って、千冬の名前を呼びながらひたすら泣いてるお前を抱いた
お前の心の隙間に入り込もうとしたのに…
記憶のないお前と、恋人ごっこみたいな日を過ごして…
一虎
「…礼なんて、言われるようなことしてねぇよ」
A
「でも、私はちゃんと、トラくんに伝えたかったの
トラくんがいて、拠り所になってくれたから…
私、心を壊さないで、今また千冬と一緒にいられる
トラくんは、記憶のない私のこと、守ってくれてた
だから、ありがとうってちゃんと言いたかったの」
はにかむ表情は、ガキの頃から変わらないな
A
「千冬と、これからも仲良くしてね」
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神奈月(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。お話は佳境ですが、みなさんに楽しんでもらえるようにがんばります。 (2022年11月27日 7時) (
レス) id: d80d51a44f (このIDを非表示/違反報告)
あい - いつも更新を楽しみにしています。千冬と一虎、これからヒロインとどんな結末が待ってるのかとても楽しみです (2022年11月26日 16時) (レス) @page39 id: c280eab537 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神奈月 | 作成日時：2022年11月1日 13時
