記憶のかけらを集めに… ページ11
真正面からぶつかれ
そう言われ、Aと一日出かけることにした
最初は難色を示したそうだけど、一虎くんに説得されたらしい
そりゃそうだよな…
彼氏だと思ってた男は、本当は彼氏じゃなかった、とか…
彼氏の職場の同僚が元カレで、そいつのせいで記憶がなくなったとか…
今のAとっては受け入れ難いよな
しかも、たいして知らない奴と1日出かけるとか…
一虎くん、よく説得してくれたよな…
マンション前にバイクを停めて、Aを待つこと数分
Aは慌てた様子でマンションから出てきた
A
「ごめんなさい、待たせちゃって…」
千冬
「ん？いいよ、別に
そんなに待ってねぇし
とりあえず行こうぜ、いろいろ行くとこあるから」
A
「…いろいろ…？」
千冬
「Aに見せたいもん、たくさんあるから」
Aをみると、少しはにかんだ表情をみせた
俺の顔をみたAは、今度は不思議そうな顔をする
すっ、とAの手が伸びてきて、俺の頬に触れた
A
「顔、怪我してる…
どうかしたの…？」
千冬
「ぁ、これ…？
まぁ、ちょっと、ペケにひっかかれたりして…」
俺、苦しい言い訳だな…
A
「…昨日、一虎も顔に怪我して帰ってきたの…
理由を聞いたら、ちょっとケンカしてきたって言ってて…」
さすがに言えねぇよな
お前のことで殴り合いした、なんて…
千冬
「け、怪我のことなんかいいから、早く乗れよっ…
ほら、これ、お前のヘルメット」
A
「…私の…？」
ヘルメットを渡すと、Aは首を傾げた
だよな、覚えてねぇよな…
でも、今日は少しでもいいから、前に進むって決めた
千冬
「そ、お前のだよ
このゴキで、いろんなとこ2人で行ったんだ」
A
「ゴキ…、もしかして圭介くんの…？」
そう言いながら、Aはゴキのある部分を見ていた
Aのイニシャルが書いてあるとこだ
A
「前にも、見たことある気がする…」
イニシャルをなぞりながら、Aは言った
やっぱり、記憶のどこかには、まだ俺がいるんだと思った
千冬
「1人で乗れるか？」
A
「こっ、子供扱いしないでくださいっ
乗れますよ…」
と、言う割には、バイクの前に立って動かないA
素直じゃねぇなぁ…
前みたいに、Aを抱き上げてゴキの後ろに座らせた
千冬
「お前、ほんと軽いなぁ」
俺がそういうと、Aの頬が少し赤らんだように見えた
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神奈月(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。お話は佳境ですが、みなさんに楽しんでもらえるようにがんばります。 (2022年11月27日 7時) (
レス) id: d80d51a44f (このIDを非表示/違反報告)
あい - いつも更新を楽しみにしています。千冬と一虎、これからヒロインとどんな結末が待ってるのかとても楽しみです (2022年11月26日 16時) (レス) @page39 id: c280eab537 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神奈月 | 作成日時：2022年11月1日 13時
