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マンションのエントランスに入ろうとした時、突然目の前に黒猫が猛ダッシュでやってきた
私の足下をぐるぐる回り始め、随分人懐っこい猫だな、と思った
抱き上げてみると首輪をしていて、どうやら飼い猫のようだった
首輪には青なのか緑なのかわからない石がついている
随分、凝ったデザインの首輪だと思った
すると突然名前を呼ばれた
千冬
「…Aっ…」
この前突然一虎の職場に行ってしまい、一虎に追い返された、あの職場にいた人だった
抱いていた黒猫はピョンっと私の腕からすり抜けて、彼の方に飛びついた
A
「もしかして、その子の飼い主さんですか?」
千冬
「ぇ、あ、まぁ…」
A
「随分と人懐っこい子だから、びっくりしました
猫って、ツーンってしてるイメージだから」
千冬
「…こいつも、かなり人見知りで、全然懐かなくて…
でも、自分が好きになった人間には、すげー懐くんだ
な、ペケJ」
A
「…ペケ、J…」
どこかで、聞いたことある名前な気がした
自分の思っている猫のイメージとは少し違うタイプの猫のようだ
A
「飼い主さん、見つかってよかった
その子を連れて家には入れないから
それじゃぁ、私はここで。」
私がそう言うと、なぜか彼はとても悲しそうな顔をした
何か、気を悪くしてしまったのだろうか…
私が彼に背を向けると、ペケJと呼ばれた黒猫が再び私に飛びついてきた
A
「ほんと、懐っこい子ね…
でも、君のご主人は私じゃなくて、ちふ…ーー」
あれ…
ちふ、って、なんだろ…
途中まで出かかった言葉は、すぐに止まり、どんな言葉を発そうとしていたかも一瞬で忘れてしまった
千冬
「A、今、俺の名前…」
君の、名前?
ぁ、自己紹介ってこと?
A
「私、場地Aと申します
これからも一虎のこと、よろしくお願いしますね」
千冬
「松野、千冬…っす」
A
「松野さん、彼、あんな性格だから付き合いづらいだろうけど…
これからも仲良くしてあげてください」
千冬
「…できる、限りは…」
A
「それと、ペケJちゃんの首輪、素敵ですね
あなたの瞳の色と同じ色の石が首輪についてた
よほどのこだわりがある首輪なのかなって思いました
あなたに大事にされてるペケちゃんが羨ましいです」
ペケちゃん…?
羨ましい…?
私、何を言っているんだろう…
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神奈月(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。お話は佳境ですが、みなさんに楽しんでもらえるようにがんばります。 (2022年11月27日 7時) (レス) id: d80d51a44f (このIDを非表示/違反報告)
あい - いつも更新を楽しみにしています。千冬と一虎、これからヒロインとどんな結末が待ってるのかとても楽しみです (2022年11月26日 16時) (レス) @page39 id: c280eab537 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年11月1日 13時