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千冬から突然連絡があって、1週間ほど仕事を休ませて欲しいと言ってきた
場地にはもう話してあるから、とのことで…
まぁ、休みたい理由は聞かなくてもなんとなくわかった
芸能人の彼女がいるって羨ましいって思ったこともあるけど、案外大変なんだな…
千冬はホントにいろいろ苦労してると思う
そんな千冬の頼みを聞かないわけにはいかない
1週間くらい、俺と場地でなんとすっから、気にすんな
そう答えてやった
電話の先では安堵したような千冬の声に、俺は少し嬉しくなった
人に頼られる、任されるって、案外気分がいいな
一虎
「で、どー思うよ、あいつらのこと」
場地
「ぁ?」
商品整理をしながら、場地にそう聞いた
一虎
「余計なお世話だろうけどよ…
…幸せになってもらいてぇっつーか…」
場地
「んだょ、千冬とAのことか
…まぁ、ガキの頃から見てっからなぁ…
うまく言えねぇけど、お互いに気ぃ遣いしすぎだろ、あいつら」
それな、俺もそう思うわ
一虎
「今更遠慮する必要ねぇだろうに…
千冬はバレてスキャンダルになったらどーとかなんとか言って…」
場地
「Aは千冬に気ぃ遣って、会いやすいようにってマンションをふた部屋買ってぶち抜きやがって…」
そう、似たもん同士なんだよな、あいつら
俺らから見たら、お互いに好きすぎて、って風にしか見えねぇんだけど…
一虎
「…今回の婚前旅行で、良い方に転がるといいな」
場地
「だな
っつーか、そのための時間だろ
まぁ、帰ってくる頃には、Aの声も元に戻ってるだろ、多分な」
一虎
「なんでそー思うんだよ
声、元に戻らねぇかましれねぇのに」
場地
「なんとなくそー思っただけだ」
なんとなくかよ
でも、俺もなんとなくそう思う
帰ってくる時は、Aの声が戻ってる、って
一虎
「っつーか、旅行ってどこ行ってるか聞いたか?」
場地
「…そーいやー、聞いてねぇな
一虎、聞かなかったのかよ」
一虎
「場地が聞いてると思ってあえて聞かなかった」
場地
「一虎が聞いてると思ったから聞かなかった」
んだよ、俺ら似たもん同士、ってか?
そんな似たもん同士の俺らで、1週間やってけんのか?
社長、早く帰って来いよー…
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作者名:神奈月 | 作成日時:2023年11月5日 13時