検索窓
今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:7,474 hit

声を取り戻すために… ページ4

A
「千冬…」

うっすらと目を開けて、Aは小さく俺の名前を呼んだ

千冬
「おぅ、起きたか?
 って、今、声出たよな…!?」

今はっきりと、千冬、って俺の名前を呼んだのが聞こえた

が、Aはなんのこと?と言わんばかりに首を横に振った

千冬
「ぇ、あれ…?
 気のせい…?」

こくん、っとAは小さく頷いた

千冬
「なぁ、A…
 俺、お前が見てきた世界線、少しだけ見えたんだ…
 タケミっちからもきいた
 俺のために、お前は今、ステージに立って、歌ってくれてるって…
 別の世界線での俺が、そう願ったから…」

俺がそう言うと、Aは俺の握っていた手を軽く握り返して、また小さく頷いた

やっぱり、俺はまだ、Aのこと、ちゃんとわかってやってなかったんだ…

タイムリープの旅をして、手に入れただろうこの世界線

ガキの頃から、Aは何かに取り憑かれたかのように、ボイスレッスンをしていた

芸能界に入るためにオーディションも受けていた

今、日本のトップアーティストとして君臨するまで、どれだけの辛く苦しい思いをしてきたんだろう

俺は近くで見ていたようで、見ていなかったのかもしれない

Aが、ここまで自分を追い込んで、芸能界で輝き続ける理由

その原点は、別の世界線での俺の願いだったのか…

…じゃぁ、今の俺の願いは…

俺は…

千冬
「A…
 旅行、行くか
 店のことは場地さんと一虎くんに任せるから
 俺もお前も、少し気分転換が必要だと思う」

そう言うと、Aの表情がぱぁっと明るくなった



俺の願いは

Aと共に生きること



でも俺のこの願いはきっと

どの世界線でも、変わっていないはずだ…

どの世界線でも、俺は俺だから

どの世界戦でも俺は松野千冬だから

花垣Aを守りたいし、幸せにしてやりたいって思う

その方法が、世界線によって多少違うやり方だったんだろう

俺は、どうしたら本当の意味でAを守って幸せにしてやれるか

真正面から受け止めて、答えを出さなきゃいけないんだ

Aが芸能人だからって理由で、俺もAもいろんなことを我慢してきた

気軽に会えないのも、ごく一部の友人にしか交際していることを伝えていないことも…

結婚のことだって、ホントは仲間みんなに言いたかった

きっと、Aだってそうなはずだ…

俺はもう、逃げねぇから…

花垣Aも、アーティストとしてのAも

ちゃんと守れるように、強くなるから…

5→←3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
119人がお気に入り
設定タグ:東京リベンジャーズ , 松野千冬 , 東リベ   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:神奈月 | 作成日時:2023年11月5日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。