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そんな時、俺のスマホが鳴った
慌てて手に取ると、ディスプレイにはAの名前が表示されている
千冬
「A!?
無事か!?
怪我してねぇか!?」
A
『…千冬…』
Aの声だ…
弱々しいけど、確かに、Aだ…
A
『千冬、どうしても伝えたくて…
千冬が生きている未来に辿り着けただけで、私は幸せ
だから、もうこれ以上は望まない』
千冬
「…A、何、言ってんだ…?」
A
『生きててくれれば、それだけでいいの…
だから…
こんな私を愛してくれて、ありがとう
…勝手なこと言ってるのはわかってるけど…
今度こそ、あなたと一緒に、生きていけると、思ってたんだけど…
千冬、愛してる…』
プツッと電話が切れた
ツーツーという無機質な音が響く
千冬
「…何、言ってんだよ
一方的に話して切るなよ…
ごめんね、なんだよ…
わけわかんねぇ…」
タケミチ
「…千冬、Aのやつ、なんか言ってたか…?」
千冬
「一方的に話して切りやがった…
状況もなにとわかんねぇ…
なんなんだよ、一体…
何が起きてんだよ…」
タケミチ
「…あいつ、1人で解決しようとしてんだ…
どの世界線でも、Aは…
俺らに助けを求めてこない…」
千冬
「…なぁ、タケミっち…
俺、情けねぇよな…
あいつ、いつも俺のことばっか心配して、自分のことは二の次でさ…
俺は、大事な女1人、守ってやることもできねぇのかよ…」
ドンッ、と拳を床に叩きつける
痛みすら感じない…
何もわからない状況で、俺は、何をしたらいいんだ…
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作者名:神奈月 | 作成日時:2023年11月5日 13時