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仕事が終わり、俺はタケミっちとの待ち合わせ場所に向かった
2人で酒飲みに行くの、久しぶりだな…
横断歩道で信号を待っていると、目の前の大型ビジョンにはAの姿が映し出された
化粧品のCMだ
俺の前で信号待ちしてるOLの2人の会話が聞こえてきた
「AがCMやってる新しいリップ、この前買っちゃったよ」
「私も、ファンデーションまだ残ってるのにAがCMやってたから買い替えちゃったー」
「わかるわかる！
歌番組のトークとか雑誌のインタビューとか、好感しかないもんね」
「スキャンダルは全くないし、今年のCM契約数ランキングも2位だったよね
来年は絶対に1位だよ」
「あれで彼氏いませんとか、絶対ないでしょ」
「だよね
相手が一般の人で、幼馴染と結婚します、なんてなったら、好感度さらに上がるよねー」
…俺がその一般人です…
と、思わず言いたくなったのを、ぐっと堪えた
千冬
「悪ぃ、待たせちまった」
タケミチ
「俺も今来たばっか」
席に座り、2人でビールを頼んで、ガキの頃の思い出話が始まった
1時間くらい、雑談が続いた
タケミチ
「そういえば、パーちんくんから結婚式の招待状、届いた？」
千冬
「おぅ、先週届いたから、すぐに出席で返信したぜ」
タケミチ
「パーちんくんの次は千冬たちの番だな
Aのやつ、仕事仕事で、全然結婚式の話とか進まねぇだろ？」
千冬
「まぁ、まだ具体的な日取りも決めてねぇし…
Aの方が、結婚の発表はスポンサーとかの絡みもあって、まだ先になりそうって言ってた
別にすげー急ぐことでもねぇしさ」
タケミチ
「そか
いや、話がちゃんと進んでるなら安心した
何度も同じ話になっちまうけど、2人が結婚できる未来に辿り着けて、本当に良かったって思ってる」
そういいながら、タケミっちの目には涙が浮かんでる
千冬
「おいおい、泣くなよ
気が早ぇなぁ」
そんな話をしているとき、俺のスマホが鳴った
Aからのメッセージだ
【 少しトラブルがあった
今日は事務所が手配したホテルに泊まります
事態が落ち着くまで、帰れないかも
ごめんね 】
千冬
「…トラブル…？」
タケミチ
「千冬、どした？」
千冬
「Aが、なんかトラブルで今日は事務所が手配したホテルに泊まるって連絡が来た
しばらく帰れないかもって言ってんだけど…」
嫌な予感しかしない…
全身の血の気が引くような感覚
…Aに、何が起きているんだ…？
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作者名：神奈月 | 作成日時：2023年11月5日 13時
